2008 Fiscal Year Annual Research Report
情報通信の数理モデルに関連した組合せ符号の存在と構成に関する研究
Project/Area Number |
08J10356
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
籾原 幸二 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 多重アクセス通信 / 衝突回避符号 / 光直交符号 / 相対差集合族 / 強差集合族 |
Research Abstract |
本研究は多重アクセス通信で用いられる符号語数最大の最適な組合せ符号(特に相互相関の値が1の衝突回避符号と光直交符号)の構成と存在性に関する研究である.本研究で以下の結果を得ている. 1.自己相関の値が1の最適な光直交符号の存在を,相対差集合族及び強差集合族と関連させ調べた.特に,有限体上の差集合族の漸近的存在性を,強差集合族の存在を仮定することで重みが4,5の場合の相対差集合族に拡張し,自己相関の値が1の最適光直交符号を無限個の新たな符号長に対し構成した. 2.ペルージャ大学のM.Buratti教授との共同研究により,自己相関の値が1の光直交符号に対して与えられた構成法が,自己相関の値が2かつ重みが4の光直交符号に対しての構成にも適用できることを示しか.まず,巡回群上で定義された4元部分集合全てを,自己相関の値とその差集合に現れる差数の双方で分類し,自己相関の値が2になるための必要十分条件を得ている.次に,差によって被覆されない元が部分群を成す,自己相関の値が2かつ重みが4の光直交符号を有限体を用いて直接的に構成した.さらに,そのような符号の再帰的構成法を得ている.この直接的構成法と再帰的構成法により非常に多くの自己相関の値が2かつ重みが4の最適な光直交符号の無限系列を得ている. 3.重み3の最適な衝突回避符号の存在に関する結果の一般の重みへの拡張について研究を行った.一般の重みに対して,タイトな衝突回避符号が存在するための必要十分条件を完全パッキングを用いて求めた.特に素数長の重みが4,5の場合の存在性を類体論を用いて特徴付けし,チェボタレフのクロネッカー密度定理を利用して,そのような素数の無限存在性を証明している.この結果の特色は,差に関する条件の強い特徴付けが困難である符号の存在を,類体論を用いて特徴付けしか点である.
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