2010 Fiscal Year Annual Research Report
MEMSセンサを用いた自由飛行中の流れ計測によるトンボの飛行メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J10359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 英俊 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MEMS / 差圧センサ / 昆虫の羽ばたき飛翔 |
Research Abstract |
本年度は研究目標のうち前年度で確立したMEMS圧力差センサを実際の昆虫に取り付け計測する方法を用いて,クロアゲハの離陸時の翼面圧力差分布を明らかにした.前翅の翼長方向の3点,後翅の1点を差圧センサの取り付け位置とした.チョウの翼面の圧力差を計測するため,MEMSプロセスによってピエゾ抵抗型カンチレバーを用いた差圧センサを試作し,フレキシブル配線を用いることでクロアゲハの翼面への配置を可能とした.センサは-50~+50Paの計測レンジで感度はΔR/R=1.6×10^<-4>×ΔPとなり,また分解能0.1Paである.さらに直径50μm,長さ25mmのAu線を用いて有線で圧力差計測を行う実験セットアップを構築した.Au線を含めたセンサの総重量は約35mgであり,クロアゲハの重量の10%以下となった.この値はクロアゲハが摂取するエサの重量に比べ軽い.差圧センサを取り付けたクロアゲハを用いて離陸時の圧力差計測を行う実験セットアップを構築し,実際に8匹のクロアゲハで4点の圧力差分布を計測した.計測した結果から離陸時における翼面で発生する空気力を明らかにした. 圧力差は羽ばたき運動に同期し,打ち上げでは負の圧力差,打ち下ろしでは正の圧力差が発生していた.また圧力差は前翅の翼端の点で最も大きく,次いで前翅の翼中心の点で大きかった.また後翅の中心の点では前翅の翼付け根近くでの大きさと同程度の圧力差が発生し,羽ばたき1ストローク中に圧力差の2つのピークが観察された.クロアゲハに働く力に対して翼面の各点で発生する圧力差の比率を求め,前翅の翼長方向に対して,比率は翼付け根からの距離のほぼ2乗に比例することを確認した.また翼長方向において圧力差に位相差は観察されなかった.このことから翼面の発生する圧力差は翼付け根からの距離に応じた,羽ばたき運動による翼面の速度に大きく起因していることが確認できた.
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Research Products
(12 results)
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[Presentation] 3D Airflow Velocity Vector Sensor2011
Author(s)
Minh Dung Nguyen, Hidetoshi Takahashi, Kenta Kuwana, Tomoyuki Takahata, Kiyoshi Matsumoto, lsao Shimoyama
Organizer
IEEE 24th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS2011)
Place of Presentation
Cancun, Mexico
Year and Date
20110123-20110127
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[Presentation] Micro Suction Cup Array for Wet/Dry Adhesion2011
Author(s)
Nguyen Thanh-Vinh, Hidetoshi Takahashi, Tetsuo Kan, Kentaro Noda, Kiyoshi Matsumoto, Isao Shimoyama
Organizer
IEEE 24th International Conference on Micro Electro Mechanical Systems (MEMS2011)
Place of Presentation
Cancun, Mexico
Year and Date
20110123-20110127
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