2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形状態空間モデルの推定と金融データへの応用分析
Project/Area Number |
08J10363
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 庸博 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 多変量確率的ボラティリティ変動モデル / レバレッジ効果 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / 粒子フィルタ / ベイズ統計 / 株式指数 / ボラティリティ |
Research Abstract |
近年多変量の資産収益率のモデリングが注目されているが,本年度も昨年に引き続き多変量非線形状態空間モデルとして表現できる多変量確率的ボラティリティ変動(multivariate stochastic volatility, MSV)モデルの計算効率的な推定法とその応用に関する研究を行った.扱ったモデルは,(1)交差レバレッジのあるMSVモデル,(2)交差レバレッジのある行列指数MSVモデル,(3)レバレッジのある因子MSVモデル(4)レバレッジのある因子MSVモデルの4種類である.(1)から(3)までそれぞれのモデルに対して効率的なマルコフ連鎖モンテカルロ法のアルゴリズムを提案し,それに基づいたベイズ推定法用いて株式指数収益率を用いた実証分析を行い,情報量基準DICを用いたモデル比較も行った.(1)に関してはS & P500の業種別株価指数を用いた実証分析を行い,提案したアルゴリズムの効率性もシミュレーションにより示された.その結果は査読付き論分に投稿し,採択が決定された.(2)については(1)と同様のアルゴリズムを開発し,その効率性を示すとともに東証株価指数・日本国債価格指数・円ドル為替レートの収益率を用いた実証分析を行った.また情報量基準モデルDICを用いたモデル比較では(2)のモデルが(1)のモデルよりあてはまりが良いことが分かった.更に応用として(3)モデルを用いたポートフォリオ選択の問題も今年度は扱い粒子フィルタを用いたポートフォリオ選択法を提案した.(2),(3)に関する研究に関しては学位論文にまとめた.(4)のモデルはすでに先行研究で推定法は提案されていたため,(1)のモデルとの比較を行った.その結果は来年度出版される予定の書籍の一章としてまとめられた.
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Research Products
(4 results)