Research Abstract |
本研究の目的はユビキタス情報空間のインタフェースを構築し,「人と環境」,「人と人」が多様なインタラクションを行なえる環境を作り出すことで,新しい都市基盤と体験型コンテンツを創造することである. 本年度はこれまでの研究をまとめ,インタラクションのために必要な多様な五感情報提示手法に関する基礎的な知見が多数得られた.特に,実際には少ない種類の感覚刺激を提示しているにもかかわらず,人間に多様な感覚を生じさせるという錯覚に基づいた情報提示手法,ならびに人間が意識しない程度の五感情報を提示することで人間の行動に影響を与える手法の二つのアプローチについて,それぞれ複数の手法を提案し,その有効性を確認した. また,これらの成果を元に,アンビエントデバイスや五感情報を利用して公共空間中での人間のコミュニケーション活動に影響を与える手法について検討した成果をまとめた.さらに,より広域な範囲をターゲットとしたシステムとして,携帯端末を用いて過去に撮影された写真の撮影位置を推定し,現在の風景と少ない誤差で重ね合わせて表示し,過去と現在の風景の違いを楽しむことができる手法を開発した.本システムは公共空間において,その場所の時間変化という新しいコンテンツを直感的に理解可能な形で提供するものである.屋外空間での利用の検討のほか,鉄道博物館との協力により,館内の展示物の過去の周辺状況を重畳表示し,展示物の持つ歴史的文脈を伝える目的での利用方法が検討された. 今年度は最終年度として,研究期間全体を通して得られた知見のまとめがおこなわれ,論文誌での発表2件や,国内会議・国際会議での多数の口頭発表を通して成果が発表された.また,研究の成果を一般に公開するためのアウトリーチ活動が積極的におこなわれ,メディアでの紹介が多数おこなわれた.以上のことから,本研究では学術的にも一般向けにも大きな成果を残せたと考えている.
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