2008 Fiscal Year Annual Research Report
拡大超対称性の部分的自発的破れと低エネルギー有効理論の決定
Project/Area Number |
08J10389
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
丸吉 一暢 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超対称性の自発的破れ / N=2超対称性 / 準安定真空 / 双対性 / 低エネルギー有効理論 / 超対称ゲージ理論 / 超弦理論 / 南部・ゴールドストンフェルミオン |
Research Abstract |
本年度前半は、N=2超対称性が部分的かつ自発的に破れるゲージ理論の真空構造に関する研究を行った。この理論には、N=1超対称ゲージ理論に比べ、N=1超対称を保つ真空がより多く存在することが知られていたが、これらの一部では運動エネルギーが負になるため物理的に意味のある真空とは思われていなかった。しかし、超弦理論や有効超ポテンシャルの解析から従う考察をこの理論に適応することにより、上記の負の運動エネルギーを持つ真空は超対称性が完全に破れた真空として記述できることを指摘した。さらに、この理論の特徴として、超対称性が破れた準安定な真空が存在し得ることを示した。これは自発的部分的に破れたN=2超対称性の低エネルギー有効理論に与える顕著な影響のひとつである。 本年度後半は、N=2超対称性が自発的部分的に破れる理論をより一般的にした、N=1超対称性のみを持つ理論を考察した。特に、クォーク場に対応する物質場が存在し、さらにゲージ部分と物質場との間の相互作用が一般的な理論を構成し分析した。物質場の種類がある程度多く上記の相互作用が存在しない場合、この理論には、低エネルギーでの振る舞いが同じである別の理論(双対な理論と呼ぶ)が存在することが知られていた。そこで、上記の相互作用を加えた場合の双対な理論を発見し、その構造を分析した。また、この理論は本研究計画の22年度で扱う理論と関係しており、来年度の研究の足掛かりとなる研究となった。 また、糸山浩氏、湊彰史氏(大阪市立大学)と協力して、N=2からN=1へ自発的に破れた超対称性が存在する場合の低エネルギー定理を、超対称電流を計算することにより導いた。これにより低エネルギーで南部・ゴールドストンフェルミオンが依然として非自明な相互作用を持つことなど興味深い振る舞いが明らかになった。
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Research Products
(4 results)