2008 Fiscal Year Annual Research Report
カイコのアラタ体における幼若ホルモン生合成制御の分子生物学的研究
Project/Area Number |
08J10427
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
金城 輝則 Iwate University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 幼若ホルモン / アラタ体 / カイコ / エクダイソン / 転写因子 / 組織培養 / RNAi |
Research Abstract |
予備実験より既に、In vitro組織培養系においてエクダイソンが齢期特異的にJH合成酵素群の発現を調節し、JH合成を制御していることを明らかにしていた。そこで本年度はIn vitroに加え、4齢期・5齢期に20ppmもしくは400ppmの20-hydroxyecdysone(20E)混合飼料をそれぞれ摂食させることで、In vivoにおいて体液中のエクダイソン濃度とJH合成活性、JH合成酵素遺伝子の変動を検証した。その際、JH合成活性の測定は共同研究者である金子雄博士(弘前大・農生)が行った。 その結果、4齢期では低濃度のエクダイソンに反応してJHAMT遺伝子の発現上昇が起こることが分かった。他の酵素の発現が上昇する機構については今回明らかにできなかったが、低濃度のエクダイソンによるJHAMTの発現の上昇が、JH合成活性を促進の要因の一つであることが考えられる。また上昇するエクダイソンに反応してJHAMT,IPPI,FPPS3の発現が減少してJH合成が低下することを明らかにした。このように、4齢期ではエクダイソン濃度の変動が時期特異的にJH合成を調節していることが明らかになった。 そして、5齢期では3日目までにJHAMTの発現が停止し、JH合成も停止する。しかし20E混合飼料を摂食させると20ppm、400ppmのいずれもJHAMT遺伝子の発現が維持されJH合成が促進された。この結果から、体液中のエクダイソンが消失することが、JH合成が停止する要因の一つであることが明らかになった。 一方、20Eの作用は受容体及び様々な転写因子を介して行われる。アラタ体内におけるそれらの制御機構の解析のためにはRNAiによる検証が最適であることから、E75遺伝子を使用しIn vitroにおける効率のいいRNAiを行うための条件を検討した。その結果、脂質性遺伝子導入試薬を用いてdsRNAの取り込みを促進することでRNAiの効果を再現良く引き起こせる条件を見出し、In vitroにおけるアラタ体でのRNAi法を確立した。
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