2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
王 いん The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 環境応答 / 光応答 / 気孔 / 光合成 / 生態生理学 |
Research Abstract |
1.生育光環境が植物の両面気孔の光応答性に及ぼす影響 ヒマワリの葉の背軸側の気孔は、向軸側の気孔より光に敏感に応答して開孔する。また、背軸側気孔は、葉の透過光や緑色単色光によって顕著に開孔する(Wang et al.,2008,PCE,31:1307-16)。これらは、気孔の光応答性が生育中の光環境に馴化した結果と考えられる。そこで、ヒマワリの展開中の葉を裏返しにして栽培し、気孔の光応答に栽培光環境への馴化が見られるのかを調べている。 裏返しにした葉の気孔indexは両面とも対照葉と差がなかったが、向軸側の気孔密度はやや減少した。背軸側の気孔密度は変わらなかった。また、向軸側に光を受けた対照葉の柵状組織は厚く、細胞は細長かった。一方、裏返しにした葉の柵状組織は薄く、細胞は短く、海綿状組織は厚く、細胞サイズは大きくなった。裏返した葉の向軸側気孔は対照葉に比べて、赤色光又は青色光への感受性が減少した。緑色光への感受性は対照葉と同様、示さなかった。背軸側気孔は、赤色光への感受性は変わらず、緑色光への感受性は減少、青色光への感受性は増加した。 2.緑色光による気孔開孔のメカニズムの検討 葉の透過光には白色光に比べて、緑色光が多い。気孔開孔に最も大きな影響を及ぼす青色光が少ないにもかかわらず、気孔が開きやすくなることは,光のスペクトルが気孔開閉に影響することを示している。申請者は、葉一枚を透過した光を葉に照射すると、同じ強さの白色光よりも気孔が開きやすいことを発見した。透過光には緑色光が青色光よりも多いので、この発見は大変興味深い。そのために、光合成系などの阻害剤(DCMU)を用いて、緑色光で気孔開孔のメカニズムを検討している。 DCMU処理により、光合成速度を抑制した。背軸側気孔の赤色光への応答性はほとんどなくなった。一方、青色光への応答性は部分的に抑制されたが、残っていた。緑色光によって気孔が開いた。これは、赤色光による気孔開孔には光合成の影響が強いこと、青色光の効果は、光合成以外の要因の関与が大きいこと、緑色光についても、光合成以外の要因が関与している可能性がある。
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Research Products
(4 results)