2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10437
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 弓弦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | セレノシステイン / セレン代謝 / 翻訳 / 構造生物学 / RNA / 非標準アミノ酸 |
Research Abstract |
1、セリルtRNA合成酵素(SerRS)によるtRNA^<Sec>認識機構の解明セレノシステインのtRNA(tRNA^<Sec>)は既知のtRNA中最大で、特異な2次構造上の特徴をもつ。SerRSはセリンのtRNA(tRNA^<Ser>)にセリンを結合する一方、tRNA^<Sec>に対しても活性をもつ。SerRSのtRNA^<Sec>認識機構を明らかにする目的で、本年度は多数の生物種のSerRSとtRNA^<Sec>を調製し、結晶化を行った。そのうちの1つで、十分ではないものの比較的高い分解能のX線回折データを収集することに成功した。さらに分解能を改善することにより、SerRSの柔軟なtRNA認識機構が明らかになると期待される。 2、セレノシステイン合成酵素(SecS)の構造解析およびtRNA^<Sec>認識機構の解明SecSはtRNA上でセリンをセレノシステインに変換する酵素である。SecSは巨大な10量体(500kDa)を形成するため結晶構造解析が困難であった。本年度はSecSの末端欠損変異体と点変異体の構造を決定し、それらを組み合わせてSecS全体の立体構造を原子分解能で決定することに成功した。SecSの触媒部位の構造から触媒機構を推測することができた。SecSは2量体が5つ環状に並ぶことによって10量体化することが明らかになった。10量体化に関わるアミノ酸残基を特定し、これらに突然変異を導入することによって10量体にならずに2量体のままの変異体SecSを作成した。2量体化SecSの立体構造を決定し、10量体SecSと比較したところ、触媒部位の構造が異なっていた。このことから、10量体化が触媒部位の構造維持に必要であると考えられる。また、SecSとtRNA^<Sec>複合体の結晶化し、低分解能ではあるが大まかなtRNA結合様式がわかった。これらの構造により、SecSの触媒機構と基質認識機構がある程度明らかになった。
|
Research Products
(5 results)
-
-
-
[Presentation] セレノリン酸合成酵素の構造解析2008
Author(s)
伊藤弓弦, 関根俊一, 松本英子, 赤坂領吾, 竹本千重, 白水美香子, 横山茂之
Organizer
日本分子生物学会年会・日本生化学会大会合同大会
Place of Presentation
兵庫県神戸市
Year and Date
2008-12-12
-
-