2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10437
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 弓弦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | セレノシステイン / セレン代謝 / 翻訳 / RNA / tRNA / 非標準アミノ酸 / X線結晶構造解析 / 構造生物学 |
Research Abstract |
1,セリルtRNA合成酵素(SerRS)によるtRNA^<Sec>認識機構の解明 セレノシステインのtRNA(tRNA^<Sec>)は既知のtRNA中最大で,特異な2次構造上の特徴をもつ.SerRSはセリンのtRNA(tRNA^<Ser>)にセリンを結合する一方、tRNA^<Sec>に対しても活性をもつ。昨年度までに,SerRSとtRNA^<Sec>の複合体の結晶化に成功していたが,構造決定に十分な分解能の回折は得られていなかった.本年度は分解能の改善を試み,古細菌SerRSと細菌tRNA^<Sec>の複合体の立体構造を決定することに成功した.これによりSerRSとtRNA^<Sec>の相互作用が詳細に明らかになり,SerRSがtRNA^<Ser>とtRNA^<Sec>の両方を基質にする構造基盤を考察することができた. 2,セレノシステイン合成酵素(SecS)の構造解析およびtRNA^<Sec>認識機構の解明 SecSはセレノリン酸を用いてtRNA上でセリンをセレノシステインに変換する.SecSは分子量500kDaに達する巨大なホモ10量体を形成するため構造解析が困難であり,その立体構造は不明であった.昨年度までにSecSを調製,結晶化して,立体構造を決定していた.本年度は,tRNA^<Sec>との複合体の結晶化を試み,立体構造を低分解能で決定した.SecSのホモ10量体に10個のtRNA^<Sec>が結合し,分子量800kDaを超える巨大複合体を形成していた.SecSのN末端ドメインがtRNA^<Sec>の特徴的なDアームと相互作用しており,これがtRNA^<Sec>への特異性を達成していると考えられる.1つのtRNA^<Sec>に対する結合面と触媒活性部位が,SecSの4つのサブユニットにまたがっており,SecSが多量体化する意義が明らかになった.
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Research Products
(4 results)