2008 Fiscal Year Annual Research Report
PICsomeの生体内における機能評価とタンパク質・遺伝子デリバリーへの展開
Project/Area Number |
08J10495
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安楽 泰孝 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 中空粒子 / ポリマーソーム / ドラッグデリバリー / 生体適合性 / 自己組織化集合体 / 荷電性共重合体 / in vivo / 血中滞留性 |
Research Abstract |
当研究では、本研究室で世界に先駆けて開発した静電相互作用を形成駆動力とした新規中空粒子PICsomeを用いたタンパク質・遺伝子デリバリーキャリアの開発を試みている。PICsomeは生体適合性の高いPEGとポリアミノ酸から形成される中空粒子であるが、従来報告されてきたPICsomeはいずれもマイクロメートルサイズの粒子であり、生体内で使用するデリバリーキャリアとして最適なサイズとはいえない。そこで当該年度では、まずデリバリーに適したナノサイズのPICsome(Nano-PICsome)をこれまでに得られた知見を活かしつつ、調製することに成功した。得られたNano-PICsomeは有機溶媒を全く必要とせず容易にに調子できるなど、これまでにデリバリーキャリアとして使用されてきたリポソーム、ポリマーソームにはない新たな特徴を有することも明らかとした。しかしながら、Nano-PICsomeは静電相互作用を形成駆動力とするため、生理条件下ではその構造を維持するのが難しいという問題が生じた。そこで得られた粒子の膜に架橋を行うことで、生理条件下でも構造を維持でき、さらに凍結乾燥、濃縮といった今後、デリバリーキャリアとして必要な機能を賦与することに成功した。そこで得られた粒子(Cross-linked Nano-PICsome)をマウスに静注し、その血中安定性と滞留性を評価したところ、1時間後に約85%の粒子が血液中に存在していることが明らかとなった。この値はこれまでに当研究室や世界中の同分野の研究室から報告された内容と比較してもトップレベルの値であり、今後更なる改良をすることで、理想的な遺伝子・タンパク質デリバリーキャリアの構築が期待できる。
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Research Products
(3 results)