2009 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡系における秩序形成:両親媒性分子の自己組織化と緩和過程
Project/Area Number |
08J10527
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
下川 直史 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ソフトマター / エマルション / 二重膜 / 相転移 / 相分離 |
Research Abstract |
本研究の目的はソフトマターが作る秩序構造の形成を明らかにすることである。特に、界面活性剤やリン脂質といった両親媒性分子が自発的に形成する多くの自己集合構造の形成要因に注目する。このソフトマターの秩序形成の解明には実験と理論両方からのアプローチが不可欠である。昨年度に引き続き、水・油・界面活性剤からなるマイクロエマルションの系における球状と棒状の構造相転移と巨視的な油相を形成する凝縮転移の2つを同時に記述するモデルを提案した。巨視的な油相の形成は水中での油の安定な分散が得られないため、工業的には好ましくない。そのため、理論的に巨視的な油相の形成条件を探ることは意義深い。界面活性剤の物質パラメータ(自発曲率とサドル・スプレイ剛性率)を変化させた結果、油の量を変化させたときに球状→棒状→球状とリエントラントな転移を示す領域を見出した。また、球状を経ずに棒状から直接巨視的な油相を形成する領域が存在することを示した。これらは実験により報告されている結果と定性的に一致している。これらの結果は当該年度に論文として7he Journal Chemical 3hysics誌にて発表した。また、荷電脂質と中性脂質からなるリン脂質二重膜における相分離を共焦点顕微鏡により観察し、理論的に説明を与えた。生体膜や生体分子は電荷を有しているため、それらの相互作用を取り入れた相分離研究は重要である。この結果は現在論文を投稿中である。さらに、現在は優秀若手研究者海外派遣事業に採択され、イスラエル、テルアビブ大学、D.Andelman教授の指導のもと、上記のリン脂質二重膜での相分離をより詳細に考え、静電相互作用を伴う相分離の理論の構築を行っている。
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Research Products
(6 results)