2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織再構築におけるカスパーゼ活性化パターンの時空間的解析と生理的意義の解明
Project/Area Number |
08J10543
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中嶋 悠一朗 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | プログラム細胞死 / 細胞増殖 / 発生 / カスパーゼ / ショウジョウバエ / 生体イメージング |
Research Abstract |
プログラム細胞死の生理的意義は細胞死変異体の解析から示唆されてきたが、時空間的な発生イベントとの関連性はほとんど明らかでない。本研究は、FRET型のカスパーゼ活性検出プローブSCAT3を用いて、生理的に起こるアポトーシスを一細胞レベルの解像度で可視化する系をショウジョウバエ変態期における腹部表皮の組織再構築をモデルとして構築した。これまでに、野生型でヒストブラスト近傍において幼虫表皮細胞でのカスパーゼ活性化が検出される、時空間的なパターンを明らかにし、パターンに異種細胞間での相互作用が寄与する可能性を示してきた。本年度は、ショウジョウバエ腹部表皮の組織再構築において、「ヒストブラストが増殖不能な変異体の使用」、および「ヒストブラストの増殖を直接操作(UV照射による細胞周期停止)」することで増殖能のあるヒストブラストとの相互作用が幼虫表皮細胞でのカスパーゼ活性化に必要であることを見出した。組織再構築は腹部表皮のみならず、唾液腺や消化管といった内部器官の多くで見られる現象であり、そこでは成虫前駆細胞と幼虫細胞の境界(相互作用する場)が存在する。現在、組織リモデリングにおける「増殖細胞・死細胞間コミュニケーションによるカスパーゼ活性化の開始制御」という仮説の一般性を示すことも検討中である。さらに、本系を用いることで、発生イベントに沿って非自律的に細胞死を誘導する因子が初めて同定可能となるスクリーニングシステムを構築中である。本研究の遂行により、生理的条件下で起こる細胞死の制御メカニズム、そして生理的意義が解明されることが期待される。なお、本研究の成果は「第41回日本発生生物学会(口頭発表)」をはじめとした複数の学会・研究会で発表した。
|
Research Products
(5 results)