2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死抑制因子IAPによる神経細胞の運命決定機構の解明
Project/Area Number |
08J10555
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古藤 日子 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 細胞死抑制因子IAP / ショウジョウバエ外感覚器 / カスパーゼ / 非細胞死機能 / ライブイメージング |
Research Abstract |
これまでに細胞死抑制因子IAPのタンパク質動態をライブイメージングにより解析した結果、ショウジョウバエ外感覚器の発生過程においてIAPは細胞種、またその発生段階依存的に異なる安定化・不安定化パターンを示すことを明らかにした。また、IAPタンパク質レベルが厳密に制御されることの生理的意味について解析を行った。遺伝学的手法を用いIAPのタンパク質レベルを操作することにより、IAPタンパク質の分解を抑制したショウジョウバエ個体において外感覚器の剛毛形成が異常となることを明らかにした。さらに、IAP1がどのようにして剛毛形成過程に関わるか、そのメカニズムを明らかにするため、IAPの基質として知られているカスパーゼとの遺伝学的相関を検討した結果、イニシェーターカスパーゼDroncがIAPの下流として特異的に活性化し、剛毛伸長を促進することが示された。また、我々はDroncの活性化型を特異的に検出する抗体を作成し、免疫組織化学染色法により、IAPの分解に伴いシャフト細胞においてDroncの活性が一時的に強く誘導されることを明らかにした。これらの結果は、IAPタンパク質の量的変化が下流カスパーゼDroncの担う非細胞死機能、即ち細胞形態の調節を時空間的制御することを示唆すると考えられる。
|