2008 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデを用いた超新星背景ニュートリノの探索
Project/Area Number |
08J10561
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 崇史 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超新星 / ニュートリノ |
Research Abstract |
私は岐阜県にあるスーパーカミオカンデ実験に参加し、宇宙創成以来のすべての過去の超新星爆発を起源とする背景ニュートリノ(SRN)の探索を行っている。SRNのフラックスやスペクトルの情報から宇宙の超新星爆発の歴史、銀河・星形成率、宇宙論パラメータなどに制限を加えることが可能となる。SRNを観測することは宇宙論を研究する上で極めて重要であり、世界中で探索が行われているが未だ発見に至っていない。 私はスーパーカミオカンデのデータを用いてSRNの探索を行った。これまでの解析方法に加え、バックグラウンドの大気ニュートリノが酸素分子と反応した際に出すガンマ線を捕えることで、この大気ニュートリノのバックグラウンドを減らし、SN比で約30%の向上に成功した。SK-IIという事故で光電子増倍管が半分になってしまった2002-2005年のデータを解析した。結果、低いエネルギー領域で不明なバックグラウンドが見つかったが、これを宇宙線ミューオンによる核破砕のバックグラウンドが、SK-IIでエネルギー分解能が悪化したことによって低エネルギー側からしみ込んだとして理解できることを示した。その結果、これまで使用できていなかったSK-II2年分のデータを用いて探索が行えるようになった。上記の解析改善による感度向上によって得られたSRNのフラックス上限値は、<1.08/cm^2/secと、これまでのものより10%程良くなり世界最高の感度での探索を実現した。 また並行して新しいエレクトロニクスの導入と検出器の較正を行い、現在は新エレクトロニクスによってデータが取得されている。このエレクトロニクスはSRN反応の際にでる中性子が水に吸われて出るガンマ線を捕獲可能であり、このデータを解析することで、SRNのさらなる感度向上が期待される。
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Research Products
(1 results)