2009 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデ検出器を用いた超新星背景ニュートリノの探索
Project/Area Number |
08J10561
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯田 崇史 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超新星爆発 / ニュートリノ |
Research Abstract |
超新星背景ニュートリノ(SRN)はビッグバンから現在に至るまでに起きた数多の超新星爆発を起源とする宇宙背景ニュートリノであり、20年以上前から理論的に予測されているにも関わらず未だに発見には至っていない。このSRNのフラックスの総量やスペクトルの形状を測定する事で、宇宙の超新星爆発の歴史、銀河・星形成の歴史、宇宙の質量分布等を知ることができる。本研究では世界最大の水チェレンコフ型検出器・スーパーカミオカンデ(SK)のデータからSRNの探索を行った。 SRNの解析では、バックグラウンド(BG)の除去と、最後まで残ったBGの理解がきわめて重要になってくる。主なBGは大気ν_μ起源のチェレンコフ光を出さない低エネルギー・ミューオンによる崩壊電子である。この反応はまれに事象前に水分子の中の酸素原子核と反応しガンマ線を放出することがありうる。私はBG除去後に残った候補事象の前後を位置や時間の相関性も含め慎重に精査することで前後にガンマ線らしいアクティビティを持つBG事象の除去を行いS/N比で30%の向上に成功した。さらに低いエネルギーで問題となる宇宙線による核破砕のBGに関して除去手法を改良し効率の良いバックグラウンド除去(信号に対する効率で、64%-->80%)を達成した。また、この新しい手法を用いることで解析のエネルギー閾値を従来の18MeVから16MeVに引き下げることが可能となり、更なる感度向上が可能となった。 以上の解析の結果、残念ながら有意な信号の発見には至らなかったものの、<2.0-2.2/cm2/sec(Eν>17.3MeV)というSRNの上限値を得ることができた。これは理論によって予想されるフラックス(0.4-4.6/cm2/sec)と比較して、かなり近いところにあることが分かる。またSK以外の実験から得られた上限値と比べると一桁以上も良い結果を得ることができた。
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