2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10565
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
肖 英紀 The University of Tokyo, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 準結晶 / 近似結晶 / 塑性 / 弾性 / 転位 / 内部摩擦 |
Research Abstract |
本研究は複雑構造を有する金属間化合物である準結晶とその近似結晶中の機械的性質、特に転位の挙動、塑性変形に関する知見を得ることを目的としている。今年度は固体中に存在する種々の格子欠陥ダイナミクスに関する情報を得る上で有用である内部摩擦測定を行った。Al-Pd-Mn系正20面体準結晶母合金60gをアーク溶解により作製後、アルミナ坩堝に詰め、ブリッジマン法を用いておよそ5cmの単準結晶を育成した。試料は背面反射ラウエ法、粉末X線回折およびSEM/EDSにより評価した。内部摩擦測定には強制振動法(室温〜600℃)および片持ち共振法(室温〜800℃)を用いた。高温内部摩擦測定結果から、Al-Pd-Mn系正20面体準結晶は100℃近傍および550℃近傍に内部摩擦ピークを示すことが確認した。高温側のピークの熱活性化解析から、活性化エネルギーE=3.6eV、前指数因子τ0=10-20sが得られ、このピークは多数の原子の集団的な運動が寄与する緩和過程であることが示唆される。このような緩和過程としては、転位の運動あるいは大域的なフェイゾン緩和が挙げられる。理論的には、フェイゾン自由度に起因する緩和過程は異方的な内部摩擦を生じることが予測されているが、本研究ではそのような異方性は観測されなかった。この試料を塑性変形することによる転位を導入し、転位密度による内部摩擦の変化を測定することにより、この高温側ピークがフェイゾン自由度に起因するものか、転位の運動によるものかが明らかになると考えられる。また、準周期性の効果、フェイゾン自由度の効果が明らかにするために、近似結晶の内部摩擦測定を行い、準結晶と比較する予定である。
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Research Products
(1 results)