2008 Fiscal Year Annual Research Report
Calpastatin遺伝子改変マウスによるCdk5異常活性化と神経細胞死の解析
Project/Area Number |
08J10574
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 亘 Tokyo Metropolitan University, 理工学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 神経細胞死 / タンパク質分解 / Cdk5 / カルパイン / カルパスタチン / プロテアソーム / カルシウム / 神経生化学 |
Research Abstract |
カルパスタチンを前脳特異的に過剰発現したトランスジェニック(以下、Tg)マウスおよび欠損したノックアウト(以下、KO)マウスの脳抽出物中のp35量を比較したところ、野生型(以下、Wt)マウスに比べてTgでは多く、KOでは少なくなっていた。これらのことから、脳内のp35量はカルパスタチン量によって影響を受けていることが示唆された。マウス脳抽出物にカルシウムを加えてインキュベートすると、p35は活性化されたカルパインによりp25へと限定分解された。限定分解のタイムコースを調べたところ、KOマウスではWtマウスに比べてp35の限定分解がより早く進行した。この限定分解は脳抽出物に加えるカルシウム濃度に依存していた。一方、Tgマウスでは限定分解が起こらなかったが、p35量の減少がみられた。これは予想していなかった結果である。p35の生理的な分解はプロテアソーム系によって引き起こされる。プロテアソーム阻害剤を含めた各種プロテアーゼ阻害剤を用いて検討をおこなったところ、プロテアソーム特異的阻害剤であるMG132およびエポキソマイシンによってTgマウス脳抽出物中でのp35分解が阻害された。このことから、カルシウム存在下におけるp35の分解はプロテアソームによって起こることが示唆された。カルシウムによって活性化されるプロテアソームについてはほとんど報告がなく、本当であるとしたら新しいタイプのプロテアソーム分解と期待される。これらの結果は、初代培養神経細胞においてカルシウムイオノフォアを用いた系でも同様の結果が得られた一方、株化培養細胞であるHEK293細胞ではp35の分解はみられなかった。これらの結果は、神経細胞特異的にカルシウムで活性化されるプロテアソームが存在することを示すものである。
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Research Products
(1 results)