2008 Fiscal Year Annual Research Report
ソフト金属、ハード金属による高次協賛的触媒群創製と触媒的不斉多段階合成への展開
Project/Area Number |
08J10580
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
半田 晋也 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 多点認識 / ヘテロバイメタリック錯体 / ニトロマンニッヒ反応 / 触媒的不斉反応 / 反応機構解析 / 医薬品合成 |
Research Abstract |
私は求核剤と求電子剤の双方を活性化する"Dual Activation"の概念をもとに新規金属触媒開発を行った。私は従来型のSchiff塩基型配位子に既に存在する窒素親和性高い配位場を活かし、さらに芳香環上にフェノール性水酸基を導入することで新たな金属配位場を産生した。この新規Schiff塩基錯体はN2O2、O2O2といった異なった性質の配位場を併せ持ち、それぞれの配位場に異種金属を組合わせた多種多様な金属錯体種が合成可能である。 モデル反応に有用生物活性物質や不斉配位子に多く見られる1,2-ジアミンユニットの構築が可能なニトロマンニツヒ反応を選択した。種々の金属を組合わせ検討の結果、Cu(OAc)2/Sm(OiPr)3を用いることでsyn選択的(>20/1=syn/anti)に反応は進行しかつ80%の不斉収率であった。さらに種々の添加剤効果を検討したところ触媒量の4-tブチルフェノールを加えることで96%の化学収率、94%の不斉収率にてsyn選択的に生成物が得られた。私はさらなる反応最適化において重要と考えられる反応機構解析を不斉収率向上に重要な役割を果たす添加剤フェノール類に着目し行った。ESI-MSなどの種々の機器分析および反応速度的解析の結果、本Schiff塩基錯体は銅サマリウムを加えた際に(μ-oxo)(μ-OR)錯体を含む種々のオリゴメリックな錯体種を生成しており、フェノール類を添加することでより高い不斉収率にて反応を触媒する(μ-oxo)(μ-OR)錯体への収束することが示唆された。さらに得られた知見を活かし、より効率的に(μ-oxo)(μ-OR)錯体を生成することが想定される Sm5O(OiPr)13を用いて触媒を調製することでより反応性、立体選択性の高い触媒を調製した。また、本反応を中枢ドパミン受容体遮断薬であり、現在アステラス製薬株式会社よりエミレースとして市販されている医薬品ネモナプリド合成へと展開した。開発した反応条件を鍵反応へと適用したところ、反応は円滑に進行し65%収率、80%eeにて望む生成物がsyn選択的に得られることを確認した。その後の変換は問題なく進行し、それぞれ良好な化学収率にて合成を達成した。
|
Research Products
(6 results)