Research Abstract |
平成21年度は,以下の3点を実施した.(i)モデルフリーとモデルベース戦略アルゴリズムを用いたラットの行動解析.(ii)Bayesian Q-learningを用いたラットの行動解析.(iii)自由選択課題時のラットの神経活動の計測. (i)モデルフリーとモデルベース戦略によるラットの行動解析 前年度は,ラットで,動機の有無を操作できる自由選択課題を提案・実施した.今年度は,同課題時のラットの選択行動が,モデルフリーとモデルベース戦略のどちらに適合するかを調べた.その結果,学習の初期と後期では,それぞれ,モデルベース戦略とモデルフリー戦略が用いられていることが示唆された.この結果から,動機の有無には,行動戦略の切り替えも関与することが示唆された. (ii)Bayesian Q-learningによるラットの行動解析 本研究では,行動選択の不確実性として,動機を定量的に評価することを試みた.先行研究では,不確実性に基づいた行動解析として,ベイズ推定と強化学習を組み合わせたBayesian Q-learningが知られている.ただし,先行研究のBayesian Q-learningでは,時間的に変化する不確実性は捉えられない.そこで,本研究では,Bayesian Q-learningを改良し,時間的に変化する不確実性を定量的に評価した. (iii)自由選択課題時のラットの神経活動の計測. 動機の有無と神経活動の相関を調べるために,ラットの聴皮質と内側前頭前野,線条体背側部に,微小電極を留置し,自由選択課題時の神経活動を,自由行動下で計測した.電極には計測点を金メッキしたニクロムワイヤー線を用いた。なお,同電極は60箇所で同時計測できる.聴皮質,内側前頭前野,線条体背側部にそれぞれ,14点,14点,32点の電極を留置した.
|