2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10616
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
富沢 真也 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 高次元ブラックホール / 一意性定理 / 5次元超重力理論 |
Research Abstract |
(1)前研究では、[squashing transformation]と呼ばれる幾何学的変形を利用して、5次元超重力理論の既知の解から同じ理論における様々な新たなブラックホール解を構成した.浦和大学・初田真知子教授と共に、超重力理論の解の様々な解を系統的に幾何変形するための基礎公式を導いた.将来的には、フェルミオンを含めた場合にも一般化し、超対称性を保存する変形をすることによって、超弦理論における既知の超対称解から新たな超対称解を導出することに役立つと期待される. (2)前研究で、大阪市立大学・石原秀樹教授とともに発見したコンパクトな余剰次元をもつ動的多体ブラックホール解の解析を数値的に行った.この解では、2つの球形のブラックホールが合体して十分に時間が経つとレンズ空間にトポロジー変化する.そのトポロジー変化の時間発展を数値的に追った。漸近平坦なブラックホールの合体とは異なり、合体の途中段階では一時的に(球形なブラックホールだけではなく)ブラックリングのような非球形のブラックホールが形成されることを明らかにした。 (3)高次元、特に5次元の重力理論では、漸近的平坦なブラックホール解は、2種類の形状のブラックホール解が発見されており、4次元の理論で決定的な役割を果たしてきた一意性定理成り立たない.しかし、高次元のブラックホール解にも、ブラックホールの表面の形状を特定すれば、何らかの意味において、一意性が成立すると考えられる.本研究では、大阪市立大学・安井幸則准教授とKEK石橋明浩研究員とともに5次元最小超重力理論の非球形ブラックホールの一意性について研究した.特にブラックリングの場合は、質量、角運動量、電荷に加えて磁気双極子によって一意的に特徴付けられることを示した.
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Research Products
(9 results)