2008 Fiscal Year Annual Research Report
場の違いによる胃プロトンポンプの機能変化メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J10617
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
藤井 拓人 University of Toyama, 大学院・医学薬学教育部(薬学), 特別研究員(DC2)
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Keywords | 胃酸分泌 / 胃プロトンポンプ / 分泌膜 / 細管小胞膜 / K^+-Cl^-共輸送体 / KCC4 / 胃腺 / DIOA |
Research Abstract |
本研究では、場の違い(胃酸分泌細胞の分泌膜と細管小胞膜、胃腺頸部と深部)による胃プロトンポンプ(H^+,K^+-ATPase)の機能変化メカニズムに着目し、胃酸分泌機構の最終段階の分子メカニズムを解明することを目的とし研究を行った。 K^+-Cl^-共輸送体KCC4は胃酸分泌細胞の分泌膜に高発現し、H^+,K^+-ATPaseと免疫共沈降することを見出した。興味深いことに、KCC4は酸分泌能の高い胃腺頸部に高発現していた。分泌膜にはKCC4以外のアイソフォーム(KCC1,2,3)の有意な発現は見られなかった。分泌膜ベシクルにおいて、H^+,K^+-ATPaseとカップルするKCC阻害薬DIOA感受性Cl^-輸送が存在することを見出した。DIOAは分泌膜ベシクルのH^+,K^+-ATPaseの酵素活性およびH^+輸送活性を有意に阻害した。分泌膜ベシクルを凍結乾燥処理しベシクル膜を破壊すると、DIOAによるH^+,K^+-ATPase活性阻害効果は消失した。分泌膜ベシクルにおけるH^+,K^+-ATPase活性に対するアニオン選択性は、KCC4のK^+輸送に対するアニオン選択性と一致した。 分泌膜モデルとしてKCC4-H^+,K^+-ATPase共発現HEK293細胞を構築した。KCC4発現細胞の膜標品のH^+,K^+-ATPase活性は変化しなかった。しかしアンモニウムパルスによる細胞内酸性化からの回復速度を、H^+,K^+-ATPaseによるH^+分泌能として評価すると、KCC4発現細胞では、未発現細胞に比べてH^+分泌能が有意に上昇した。この上昇はDIOAによって未発現細胞と同レベルにまで抑制された。 以上の結果より、胃腺頸部に位置する胃酸分泌細胞の分泌膜において、分泌膜を介するKCC4のK^+-Cl^-共輸送がH^+,K^+-ATPaseのイオン輸送活性とカップルしていることが明らかになった。
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Research Products
(16 results)