2009 Fiscal Year Annual Research Report
自然発生癌宿主における樹状細胞ワクチン低反応性メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J10636
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Research Institution | Nippon Veterinary and Life Science University |
Principal Investigator |
田村 恭一 Nippon Veterinary and Life Science University, 獣医生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | DCワクチン / 犬 / 悪性黒色腫 / DC-HIL |
Research Abstract |
樹状細胞(DC)ワクチン低反応性メカニズムには、腫瘍細胞が発現する抑制因子による免疫寛容状態が大きく関与していると考えた。特に、DCなどの抗原提示細胞に発現しており、T細胞の活性化抑制を示す負の調節因子である共抑制分子が悪性腫瘍にも発現しており、免疫寛容を引き起こす。これまでの研究により、イヌ悪性黒色腫株化細胞にはDCで最近同定された抑制因子であるDC-associated heparinsulfate proteoglycans-dependent integrin ligand(DC-HIL)が発現していることが明らかとなり、また、イヌ悪性黒色腫株化細胞に発現しているDC-HILはDCワクチンによる免疫誘導を阻害していると推測された。 そこで、悪性黒色腫細胞上に発現しているDC-HILの機能をより詳細に検討するために、DC-HILの発現が認められているマウス悪性黒色腫株化細胞B16F10からDC-HIL遺伝子をノックダウンしたマウスの悪性黒色腫株化細胞(#35)を作製し、B16F10と#35に対する免疫反応をin vitroおよびin vivoにおいて比較検討した。これらの悪性黒色腫株化細胞とT細胞を共培養したところ、B16F10と比べ#35と共培養したT細胞がより多くの^3Hの取り込みが認められ、培養上清中のIL-2およびIFN-γの濃度もB16F10と比べ明らかに高かった。さらに、これらの株化細胞ををC57BL6マウスに接種し、腫瘍のサイズおよび生存期間を観察したところ、#35を接種したマウスに形成された腫瘍のサイズはB16F10と比べ明らかに小さく、生存期間も有意に長かった。 これらの結果から、腫瘍細胞がこのようなT細胞の活性化抑制を示す分子を発現することにより生体の免疫学的拒絶から逃避していると考えられ、これがDCワクチン低反応性メカニズムの一つであると考えられた。
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Research Products
(1 results)