2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト体内動態評価ツールとしての培養細胞利用型on-chip humanの開発
Project/Area Number |
08J10640
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中山 秀謹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | on-chip human / マルチコンバートメント / 体内動態 / 培養細胞 |
Research Abstract |
本年度は,前年度までに作製した3-コンパートメント複合灌流培養デバイスを,小腸からの吸収を介さない静脈投与物質の体内動態評価に適用した.具体的には,デバイス内の各コンパートメントにラット肺由来L-2細胞,ラット初代培養肝細胞,分化誘導した3T3-L1細胞を単層状に固定化し,静脈投与モデル物質として抗がん剤CPT-11を50μMでデバイス内に暴露し,内部送液系を利用して72時間複合灌流培養を行った.培養終了まで経時的にデバイス全体の蛍光画像を取得することによりモデル物質の各コンパートメントへの分布評価を行った.また,L-2細胞を生細胞染色試薬(Cell tracker CMTMR)により染色して用いることにより,L-2細胞の細胞生存率を経時的に評価した.加えて,培養終了時に肝モデル細胞を固定化してあるコンパートメントにCYP3Asの基質であるBOMRを添加し,プロベネシドを用いて細胞中に蛍光代謝物を蓄積させてCYP3As活性を評価した.また,培養終了時の培養液中のCPT-11濃度および毒性支配的代謝物と考えられるSN-38濃度をHPLCにより定量した.その結果,蛍光画像を用いた分布評価により脂肪細胞の共存時には脂肪コンパートメントへのモデル物質の経時的な蓄積が確認された.ラット肝細胞の肝代謝活性評価においては,毒物を添加しない場合の酵素活性と同等の酵素活性が明らかとなった.肺モデル細胞の細胞生存率評価からは,肺モデル細胞の単独培養において72時間後に細胞毒性が示された.一方で,脂肪モデル細胞・肝モデル細胞との複合培養では肺モデル細胞に対する毒性は観察されなかった.この結果は脂肪細胞および肝モデル細胞によってモデル毒物が無毒化されたものと考えられ,分布評価・肝代謝酵素活性評価の結果からも無毒化が示唆された.上述の検討により本複合培養デバイスの有用性が示された.
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