2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10644
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒見 玲子 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 地域福祉計画 / 福祉行政 / 政策の執行 / ガバナンス / 教育事務処理体制の再編 |
Research Abstract |
本研究の目的は近年の政策執行に関わる実施構造、とそれを規定する中央地方関係や組織・制度的環境と政策出力の因果関係を解明することにある。 本年度は第一に、申請書の年次計画の(2)にあるように、本研究の大きな仮説を構築するために、日本の福祉国家における非普遍性という特質に着目したから福祉国家研究・政策執行・アメリカの福祉行政に関する書籍を広く読み、考察を深め、その成果を書評という形で発表した。行政史の観点からの分析の必要性を感じた。 そして研究計画(3)にあるように、地域福祉計画についてデータの収集を進めた。まず、厚生労働省の政策担当者からの情報提供と、各自治体のHP等を参照して全国の市レベルのデータセットを2006年度分まで更新し統計分析を行い、論文として発表し、各市において地域福祉計画が計画(plan)として機能を期待され、策定されるための条件を明らかにした。 また、研究計画(4)にあるように自治体の事例研究の資料の追加収集を行い、2008年夏に修士論文作成時に調査を行った神奈川県、横須賀市、藤沢市、大和市、海老名市を再訪問し、策定された地域福祉計画がその後どのように実施されているのかを調査し、追加調査から得られた計画過程と計画、施策の関連についての知見を論文にまとめ、現在投稿中である。 修士論文から継続して行っていた地域福祉に加え、児童福祉施策に関する調査を行っている。近年の「子ども」という軸での事務処理体制の再編において、「ネットワークガバナンス」を構築するために補助執行を用いた先進事例として愛知県豊田市と島根県出雲市のヒアリング調査を行い、その課題を報告書にまとめた。この調査により、中央地方の政策共同体として存在する教育、福祉の間の連携・調整の組織構造的な難しさが明らかになった。 その他、千葉県柏市を事例に「老年学」の観点から参与観察、大規模アンケート調査を行っており、その成果は上記研究にも反映されている。
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