2009 Fiscal Year Annual Research Report
有限π共役集積体の多次元的自己組織化による機能発現
Project/Area Number |
08J10647
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山内 祥弘 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | π共役系分子 / 自己組織化 / 孤立空間 / 分子認識 / 液晶 / 単分子伝導度 |
Research Abstract |
前年度までに、π共役系分子の集積数や配列を厳密に制御して、3枚から9枚までの有限π共役集積体の構築に成功している。本年度は、これらの構築体の性質の探索やそれらを単位構造とした多段階自己組織化構造体の構築に挑戦した。まず、これまでに構築に成功しているπ共役7重集積体の側面を、メトキシカルボニル基やメトキシエトキシカルボニル基などの親水性官能基で修飾した。その結果、この集積体の水溶液中への溶解度が向上し、分子間でスタッキングした1次元カラム状構造を形成することを見出した。π共役7重集積体は、アクセプター性のパネル状配位子(A)とドナー性の鋳型分子(D)が交互に集積したA-D-A-D-A-D-A配列を有しているが、この配列を有する7重集積体を単位構造として、さらに自己組織化させることにより、従来の1段階の自己組織化では構築が極めて困難な芳香環配列の実現に成功した。また、この集積体の粉末を、少量の水との接触実験を行ったところ、ネマチックカラムナー相に特徴的なテクスチャーが偏光顕微鏡によって観察された。すなわち、π共役7重集積体を単位構造として、多段階の自己組織化を行うことで、リオトロピック液晶性を発現することを見出した。第二のトピックとして、これまでに構築したピレン-4,5-ジオンのπ共役有限集積体の単分子伝導度の測定を行った。これまでに、π共役系分子が集積した構造の伝導度は、主に集積数やπ電子の重なりが伝導度にどのような影響を与えるかといった観点から、大いに興味が持たれていた。しかしながら、そのような有限π共役集積構造体そのものの構築が難しいため、十分な検証がされるには至っていなかった。一方で、我々はπ共役系分子を1分子単位で段階的に集積する技術を確立したことにより、このような検証が行えるようになった。実際の測定を行った結果、π共役有限集積体の伝導度に関する興味深い知見が得られた。
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Research Products
(5 results)