2008 Fiscal Year Annual Research Report
テフロン効果を利用する非凝集性フタロシアニンの開発:癌診断薬,癌治療薬への展開
Project/Area Number |
08J10661
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉山 英幸 Nagoya Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | フタロシアニン / 光線力学的治療 / フッ素 / 非凝集 |
Research Abstract |
光線力学的治療薬での重要なファクターとして挙げられるのが,親水性と疎水性のバランスである。増感剤の親水性が高すぎる場合,速やかに体内から排出される結果となる。そこで腫瘍細胞取り込みを促進されるため,脂溶性の向上が必須とされている。フッ素は抜群の撥水性作用を示し,当該研究における化合物においてもこの効果が期待できる。これらフッ素の撥油性(Fluorophobic repulsion)と撥水性(Fluorophilic attraction)の両者を最大限に生かす増感剤の開発を行った。フタロシアニンへのフッ素コーティングは,トリフルオロエトキシ置換のユニットを,親水性ユニットとしては核酸あるいはシクロデキストリンをハイブリッドさせた新規テフロン加工光増感剤の開発に成功した。これらをin vitroにおけるPDT試験を行った。条件は,腫瘍細胞HT1080に対して50μg/mlの化合物で24時間インキュベート後,薬剤を取り除き,PDT48時間後の細胞の生存率を調べた。(PDT条件:664nmの半導体レーザー,出力150mW/cm^2,エネルギー量100J/cm^2,同時に,光無照射下での化合物の細胞に対する直接作用を調べた。また対照として,現在臨床で用いられているタラポルフィン(ポルフィリン系増感剤)を用いた。)その結果,タラポルフィリンでは今回検討した濃度でPDT効果が見られなかったのに対して,シクロデキストリン結合型フタロシアニンは非常に高い効果が見られた。これらの化合物は光無照射下でほとんど作用が見られなかったことから,光照射により選択的に腫瘍細胞を破壊できることが期待でき,日光過敏症を併発しない新たな光線力学的治療薬への展開が期待できる。
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Research Products
(6 results)