2008 Fiscal Year Annual Research Report
広域・高解像度三次元計測に基づく気泡流メゾスケールモデリング
Project/Area Number |
08J10701
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田川 義之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 混相流 / 気泡 / 三次元計測 / メゾスケールモデリング |
Research Abstract |
本年度は界面活性剤水溶液中を上昇する単一気泡の3次元運動について基礎的な知見を得ることを目的とし,活性剤の濃度・種類と気泡の大きさをパラメータとした実験を行い,気泡の軌跡・形状・周囲流動場の3次元計測に基づいた議論を行った. 気泡の運動軌跡と形状をとらえるための独自の測定装置による3次元計測結果を得た.界面活性剤TritonX-100の低濃度溶液中において,らせん運動からジグザグ運動へ遷移する運動を観測した.この遷移運動はこれまで報告されてこなかった新しい現象であり,大きな成果である.さらに,気泡周囲流動場のデジタルホログラフィ計測を行った. 以上の測定結果を踏まえて3次元運動メカニズムについて議論し,以下の知見を得た. 本研究で初めて詳細に報告したらせんからジグザグへ遷移する気泡運動は,表面の瞬時すべり条件が運動モードを決定付けている.また,すべり条件の非定常変化がもたらす影響について考察し,本実験で影響は少ないことを明らかにした.さらに,ノンスリップ条件,フリースリップ条件では従来の結果と一致する臨界Re数を確認し,新しい知見であるハーフスリップ条件では全てのRe数範囲でらせん運動する結果を示し,ハーフスリップ条件では運動のRe数依存性が低いことを明らかにした.また,らせん運動する気泡の後流の3次元計測結果から,気泡後流でおきる遷移現象は,軸対象構造が崩れ,定常な非軸対象構造が現れ,さらに周期的構造へ遷移する剛体球の後流で起きる遷移現象と同じメカニズムであることを示した. 本年度の研究成果によって,気泡流の能動制御の大きな可能性が示された工学的意義は大きい.ここで得られた知見は,気泡の3次元運動モデルを構築する際に,瞬時濃度分布を用いて気泡の運動を記述できる可能性を示唆しており,数値計算モデル構築の観点からもその意義は大きい.
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Research Products
(1 results)