2009 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエmiRNA経路における翻訳抑制機構の生化学的解析
Project/Area Number |
08J10706
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩崎 信太郎 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Argonaute / RNA silencing / 翻訳抑制 |
Research Abstract |
近年、21-24塩基長のsmall RNAによる標的遺伝子のサイレンシング機構が広く注目されている。small RNAの中で最もよく知られているものとしてsmall interfering RNA(siRNA)とmicroRNA(miRNA)がある。siRNAは完全に相補的な配列を持つmRNAを切断することで、またmiRNAは部分相補的な配列を複数個もつmRNAの翻訳を抑制することで、それぞれ標的遺伝子の発現を負に制御する。miRNAおよびsiRNAは最終的にエフェクター複合体であるRNA-induced silencing complex(RISC)へと取り込まれる。このRISCの核をなすのがArgonaute(Ago)サブファミリーに属するタンパク質(Ago)である。 私はこれまでの特別研究員としての研究で、ショウジョウバエがもつ2種類のAgo(Ago1とAgo2)がそれぞれ翻訳抑制を引き起こすことを示し、そのメカニズムが全く異なるということを示すことができた。 また、この研究の過程で、Ago2をショウジョウバエS2細胞で発現させ、免疫沈降法で精製することが可能になった。これを用いることによって以下のような実験を計画している。 Ago2-RISCの形成過程ではまず初めにsiRNA二本鎖がAgo2へと受け渡される。これを「siRNA二本鎖の積み込み」と呼ぶ。これまでの知見によりAgo2への「siRNA二本鎖の積み込み」にはDicer-2/R2D2ヘテロダイマーが必要であることが分かっていた。しかしながら、これまでの試行実験により、siRNA二本鎖のAgo2への積み込みにはDicer-2/R2D2だけでは不十分であり、それ以外の新規因子が必要である、ということが分かってきた。今後は古典的なカラムクロマトグラフィーの手法を用い、生化学的にこの因子を精製、同定することを目指していきたいと考えている。
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Research Products
(2 results)