2008 Fiscal Year Annual Research Report
請負契約の再構成-対価関係の構造に着目した請負・雇用・賃貸借の連続的把握
Project/Area Number |
08J10717
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
作内 良平 The University of Tokyo, 大学院・法学政治学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 民法 / 契約法 / 役務提供契約 / サービス契約 / 請負 / 委任 / フランス法 |
Research Abstract |
1年目である本年度は次のように研究を進めた。まず、日本について、主として90年代以降の契約法学の議論および現在進行中の債権法改正作業における議論を素材として検討した。サービス契約の議論は、債権総論・契約総則レベルおよび個別の取引形態のレベルという二つの方向で進められていることが確認できたが、その反面でこのことは、請負や委任という契約類型自体の意義の再考を求めるものでもあるといえる。実際、他の法典や諸外国の立法を検討するだけでも、現在理解されている請負の概念が唯一のものではないことがわかる。そこで本研究は、請負の概念を再検討し、その類型の法技術的意義や他の契約との区別について考察を行った。特に問題となるのは,請負と委任の交錯領域である。これについて検討したことから,仲介的な役務提供における請負および委任の意義という視点が得られた。次に、この視点をもとに、各種契約の再編成に関する議論が盛んであるフランス法の検討を行った。はじめに,民法典制定前後の議論から現在に至るまでの請負および委任の理解の変遷を検討した。19世紀半ば以降、代理権の有無を両契約のメルクマールとする理解が定着してきたものの、現在は,代理に関する議論の展開を背景に,商事の委任への着目からこれらの定式化を疑問視する見解が現れている。また,判例を子細に検討すると代理権の有無というメルクマールが必ずしも決定的なものではない。これらの議論において仲介者の役割に焦点が当てられていることが確認できた。さらに、具体的な取引形態の分析にも着手し、フランスにおける不動産開発契約を素材として,そこに現れる仲介者の役割を検討した。
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