2008 Fiscal Year Annual Research Report
海洋炭素循環における堆積過程の役割と大気中の二酸化炭素濃度への影響
Project/Area Number |
08J10728
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉橋 貴純 (中村 貴純) The University of Tokyo, 気候システム研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 気候変動 / 海洋炭素循環 / 二酸化炭素 / 数値気候モデル |
Research Abstract |
氷期-間氷期サイクルにおける大気二酸化炭素濃度の変動は,古気候学の分野における大問題である.中でも,海洋における炭酸カルシウムの収支のバランスが変化することによって,氷期における大気CO2濃度低下がどの程度説明されうるか,詳細に検討することが重要である.そこで,数値堆積モデルを結合した海洋大循環モデルを用いてシミュレーションを行うことによって,海洋炭素循環における堆積過程の役割と大気中の二酸化炭素濃度への影響を議論することを目的として研究を行った. 今年度はまず,海洋の物理的条件が大気二酸化炭素濃度におよぼす影響に関して,海洋生物化学大循環モデルによる実験の結果に基づき,さらなる解析を進めた.計5種類の物理場における,海洋中の炭素分布と大気二酸化炭素濃度について詳しく比較検証した結果,どの場合でも海洋循環の影響は小さいこと,その理由は海洋循環の変化に起因する炭素の深海への物理的輸送の減少と生物的輸送の効率化とが互いに相殺されるためである,ことがわかった.これらの結果について,学術雑誌への投稿を行うとともに,国内外の学会において発表を行った. 次に,海洋における炭酸カルシウムのバランスをモデル中で取り扱うことを目指し,海底堆積物中での炭酸カルシウムや有機物の埋没・溶解などの化学過程を定量的に予報する数値堆積モデルを,海洋生物化学大循環モデルに結合させるための準備を行った.また,海洋生物化学大循環モデルについても,生物起源粒子(有機物,および,炭酸カルシウム)の沈降過程の表現の改良や堆積モデルとの結合のための調整といった作業を開始した.
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Research Products
(3 results)