2008 Fiscal Year Annual Research Report
海底熱水、冷湧水域における地下微生物圏の群集構造と代謝機能の解明
Project/Area Number |
08J10764
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳川 勝紀 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 嫌気的メタン酸化 / ANME / mcrA |
Research Abstract |
海底下で生成されるメタンは、微生物による嫌気的メタン酸化反応(AOM)によって、その大半が嫌気的な堆積物中で消費されることが知られている。AOMを担う嫌気的メタン酸化古細菌(ANME)は、ANME-1,2,3の3つの系統群に分類されている。ANMEの単離培養例はなく、生化学的な好適条件(温度、塩分、メタン濃度など)は明らかにされていない。また、ANMEの分布と種組成に関する多くの報告は多くされているが、各調査海域での出現系統群グループごとの優占度の違いを特定できる地球化学的環境因子も解明されていない。本研究では日本海上越沖の冷湧水系堆積物中に生息する嫌気的メタン酸化古細菌を対象に、系統的多様性、鉛直/水平分布、および存在量を明らかにし、地球化学的環境要因との比較を行った。 取得した堆積物からDNAを抽出し、嫌気的メタン酸化反応の鍵酵素遺伝子であるmcrAの分子系統解析を行ったところ、ANME-1と-2に属するmcrA遺伝子が検出された。次に、各々を標的とする新規primerを作成し、定量PCR法を用いて定量的分布パターンを明らかにした。その結果、ANME-1と-2の水平的分布には顕著な違いが見られた。メタンフラックスが高く硫酸塩が浅部で枯渇している堆積物中では、ANME-1と-2共に検出された。一方、ANME-1と-2のどちらかが圧倒的に優占する試料では、ANME群集組成と硫酸塩め鉛直プロファイルには関係性があり、ANME-1は硫酸塩が非常に乏しい、もしくは枯渇した環境で優占し、ANME-2は硫酸塩に富む環境に優占することが明らかとなった。
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Research Products
(5 results)