2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光骨格の特性に基づいた非侵襲性ケージド化合物の開発と発生胚への応用
Project/Area Number |
08J10804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 暢大 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ケージド化合物 / ヒスタミン / 細胞内分布 / 光照射 |
Research Abstract |
最終年度であった平成22年度は、本研究の目標であったBODIPYケージド化合物の生物応用に成功した。細胞応答の再現性の高さから、ケイジ対象分子をヒスタミンに変更し、BODIPYケージドヒスタミンを開発した。しかしBODIPYケージドヒスタミンの脂溶性の高さから、細胞系に添加すると細胞内膜構造に集積してしまい、光照射によって細胞応答を得ることができなかった。BODIPYケージドヒスタミンに高い水溶性を与えるため、BODIPYの2,6位にカルボキシ基を導入した2,6ジカルボキシBODIPYを合成し、それを基本骨格とした水溶性BODIPYケージドヒスタミンを開発した。このケージドヒスタミンを細胞系に添加、化合物の蛍光からその分布を観察したところ、細胞外液に一様に滞留して存在していることがわかった。この系に対して光照射を行なったところ、光照射依存的な細胞応答が観測された。この細胞応答は、ヒスタミンH1受容体阻害剤ピリラミン存在下では阻害されたことから、細胞外液に滞留していたケージドヒスタミンから放出されたヒスタミンが、細胞膜上のH1受容体を介して細胞応答を引き起こしていたことが明らかになった。この結果から、BODIPYをケイジ基としたケージド化合物は、生体応用可能かつ500nm以上の可視光でアンケージ可能な初めてのケージド化合物として利用可能であることがわかった。この分子ツールは、細胞傷害性が低く利用しやすい光で小分子を時空間特異的に活性化する初めての手法としての意義を持っていると考えられる。
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Research Products
(2 results)