2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10860
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西森 慶彦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テルピリジン / 分子電線 / 表面 / 電子移動 / ボトムアップ |
Research Abstract |
本研究では、高効率光電変換系の界面ボトムアップ法による構築を研究目的とする。高効率光電変換系を実現するために必要な要素として、一つに速やかに電子を電極に移動することが可能であること、もう一つには光電子を発生できる多くの光応答性部位が存在することが挙げられる。電子輸送部分として、申請者の所属する研究室で用いられてきたテルピリジンを逐次的に錯形成させて作製される金属錯体分子鎖を用い、光応答性部位には高い光増感作用を持つルテニウムトリスビピリジン錯体に注目した。本年度においては、電極と光電変換部位とをつなぐ分子電線部分の性能評価および改良を行った。まず長距離電子移動に関して、従来報告されていた最も遠くまで電子移動速度を落とさずに電子を輸送できる分子電線に匹敵する長距離電子輸送能を持つことが明らかとなり、高効率な電線としての機能を持つことが明らかとなった。さらにその分子電線にポテンシャル勾配を持たせることで逆電子移動を防ぎつつ、速やかに電極へと電子を移動させる高機能化を目指した研究も行った。その方法としては、異なった架橋部位を持つ架橋配位子を用いて分子電線を作製し、その架橋部位の電子求引性、電子供与性によって錯体部位のポテンシャルが変化することを利用し、電極に近づくにつれて錯体部位のポテンシャルが上がる、あるいは下がるように配列させることを試みた。これまでのところ同じ架橋配位子の組み合わせを用いても、その順番を変えることにより末端に固定したフェロセンの電子移動速度が変わることが明らかとなっており、適した架橋配位子の種類と順序を探索することによって詳細なポテンシャル制御が可能になり、光電変換系にとって理想的なポテンシャル勾配、すなわち階段状ポテンシャルが実現できる可能性がある。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Superior Electron-Transport Ability of π-Conjugated Redox Molecular Wires Prepared by the Stepwise Coordination method on Surface2009
Author(s)
Yoshihiko Nishimori, Katsuhiko Kanaizuka, Tomochika Kurita, Toshiaki Nagatsu, Yu Segawa, Fumiyuki Toshimitsu, Satoshi Muratsugu, Mitsuya Utsuno, Shoko Kume, Masaki Murata, Hiroshi Nishihara
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Journal Title
Chem. Asian J. 4((印刷中)掲載確定)
Peer Reviewed
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