2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規触媒的不斉Diels-Alder型反応の開発および複雑縮環天然物の全合成
Project/Area Number |
08J10868
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清水 洋平 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 天然物 / Diels-Alder反応 / hyperforin / 全合成 / vinylogous-Pummerer転位 |
Research Abstract |
4つの不斉点をもつビシクロ[3.3.1]骨格という非常に特徴的な構造を有する天然物であるHyperforinの全合成を目指した研究を行った。当初の計画では新規触媒的不斉Diels-Alder型反応の開発を行うところであったが、本研究の目的である複雑縮環天然物の全合成という点に主眼を置いた研究を行うこととした。すでに基本となる骨格はClaisen転位、分子内アルドール反応によって構築することに成功していたが、合成終盤での酸化段階の調整が非常に困難であった。つまり、これまでに報告がある方法ではHyperforinに存在する1,3ジケトンを構築することができなかったのである。この問題点を解決するためモデル基質を用い、さまざまな検討を行ったところ、アルケニルメチルスルホキシドを利用したvinylogous-Pummerer転位反応を用いることで酸化段階を調整することに成功した。Vinylogous-Pummerer転位反応はジアリールスルホキシドやアリールアルケニルスルホキシドでは報告例があるものの、いくつかの反応点(1,2転位および1,4転位など)が存在するような単純な系では報告されていない。本基質においては塩基の選択が反応点の制御に非常に重要であった。トリエチルアミンのようなモノアルキルアミンを用いた場合1,2転位と1,4転位の選択性は低かったものの、ジアミン類はよい選択性を示すことがわかった。特にN,N,N',N'テトラメチルプロパンジアミンを用いた場合に最もよい選択性で望みの1,4転位体を得ることができた。得られた化合物は更なる変換により側鎖の付加も可能であり、現在までにモデル基質の合成を完了している。本結果を利用しHyperforinの世界初の全合成を達成することができると考えている。
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[Journal Article] Asymmetric Reductive Mannich Reaction to Ketoimines Catalyzed by a Cu(I) Complex2008
Author(s)
Du, Y., Wen, X. L., Shimizu Y., Oisaki, K., Kanai, M., Shibasaki, M.
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Journal Title
Journal of The American Chemical Society 130
Pages: 16146-16147
Peer Reviewed
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