2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物の特長を生かした高機能不均一系触媒の開発
Project/Area Number |
08J10874
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小笠原 義之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 金属水酸化物 / 複合酸化物 / 不均一系触媒 / 固体酸触媒 / アミド合成反応 / 水素移行反応 / 炭素炭素結合形成反応 |
Research Abstract |
本研究では金属水酸化物の特性に着目し、構造の規定された活性点の創出を目指して、(1)金属種の溶存状態を制して固体表面へ固定化、(2)共沈法による複合水酸化物の調製、という方法で高機能不均一系触媒の開発を行った。さらに、より高活性な触媒開発のために、触媒活性種の状態を種々の分光学的手法で分析し、触媒の反応活性との相関を検討した。 1.単核の金属水酸化物の同一金属原子上に存在する金属由来のルイス酸点と水酸基由来のブレンステッド塩基点による協奏機能に着目し、ロジウムを単核の溶存状態に制御し担体上へ固定化した。EXAFSによりロジウムが単核の状態で担持されていることを確認し、担持水酸化ロジウム触媒がアルドキシムからのアミド合成反応に高い活性を示すことを見出した。 2.水酸化ルテニウムを担体上に高分散担持した触媒が、MPV型還元反応、ラセミ化反応などの水素移行反応に対する優れた不均一系触媒となることを見出した。さらに担持ルテニウム種の状態をEXAFS、ESRにより分析し、触媒活性の序列がルテニウム(III)単核種の量の序列と一致することを見出した。 3.共沈法で調製した均質なスズ-タングステン複合水酸化物を前駆体としたスズ-タングステン複合酸化物がシトロネラールの環化反応、ディールス-アルダー反応、カルボニル化合物のシアノシリル化反応などのC-C結合形成反応において、これまでにない高活性な固体酸触媒となることを見出した。組成や焼成温度を様々に変えて調製した複合酸化物の触媒活性と触媒表面の性質、構造をアンモニアTPD、XANES、IR、ラマン分光法、XRDなどにより比較検討した結果、焼成温度の変化により酸強度の異なるブレンステッド酸点が形成され、800℃で焼成した場合に形成されるタングステン酸化物クラスターが、本反応に対して有効なブレンステッド酸点として機能することが示唆された。
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Research Products
(4 results)