2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属水酸化物の特長を生かした高機能不均一系触媒の開発
Project/Area Number |
08J10874
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小笠原 義之 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 金属水酸化物 / 複合酸化物 / 不均一系触媒 / 固体酸触媒 / 炭素炭素結合形成反応 |
Research Abstract |
本研究では、金属水酸化物の特性に着目し、(1)金属種の溶存状態を制御して金属種の構造を保持したまま固体表面へ固定化、(2)共沈法による複合水酸化物の調製、という方法で高機能固体触媒の開発を行ってきた。さらに、均質な構造を有する複合水酸化物を前駆体として複合酸化物触媒を調製し、固体酸触媒として利用した。 ・スズ-タングステン複合酸化物による炭素-炭素結合形成反応 炭素-炭素結合形成反応は有機化合物の骨格形成に欠かせない重要な反応である。共沈法により調製したスズ-タングステン複合水酸化物を前駆体としたスズ-タングステン複合酸化物がシトロネラールの環化反応、ディールス-アルダー反応、カルボニル化合物のシアノシリル化反応などの炭素-炭素結合形成反応において、これまでにない高活性な固体酸触媒となることを見出した。本触媒反応は不均一系で反応が進行し、触媒は活性の低下なしに少なくとも3回の再使用が可能であった。 スズ-タングステン複合酸化物表面の酸点の性質を、アンモニアTPD、吸着ピリジンのIRスペクトル、2,6-ルチジンによる反応の被毒実験により分析した。その結果、反応は触媒上のブレンステッド酸点で進行することが明らかとなった。また、スズ-タングステン複合酸化物の構造について、XANES、Raman分光法、IR、XRDにより分析した。前駆体のスズ-タングステン複合水酸化物は母体の酸化スズ中にタングステン酸化物クラスターが分散している状態だと推測される。焼成温度を変えたスズ-タングステン複合酸化物の構造を比較した結果、焼成温度の上昇にともないタングステン酸化物クラスターから結晶性の酸化タングステンへ変化したことが明らかとなった。この構造変化の過程で形成されるタングステン酸化物クラスターが、本反応に対して有効なブレンステッド酸点として機能すると推察される。
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Research Products
(2 results)