2008 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナにおける病原菌耐性と植物形態形成を結ぶ遺伝子経路の探究
Project/Area Number |
08J10890
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 直子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植物形態 / 病原菌耐性 / 環境要因 |
Research Abstract |
acl1-1変異部位特定の為に行っていた分子マッピングにおいて、広範囲での組換え体が出現しないという問題点を解決するために、acl1-1染色体における異常を探した結果、acl1-1変異とは別にacl1-1染色体上に逆位が存在していた事を突き止めた。この逆位の発見により、実は今まで観察していたオリジナルのacl1-1株の表現型が、逆位によりエンハンスされていたという事がわかった。そこで、逆位によって逆位周辺の遺伝子発現の変化の解析、およびオリジナルの逆位を持つacl1-1変異体と逆位を持たない新規に単離したacl1-1変異体の表現型の比較について学術研究誌にまとめた。また、この逆位の発見、そしてacl1-1表現型との分離は、ACl1遺伝子の単離という問題の解決の糸口としても非常に有用性の高いものであったと考えている。 温度によるacl1遺伝子発現の解析は、RT-PCRを用いたいくつかの重要な遺伝子の解析を行った。また、温度だけではなく、同じくacl1植物形態に影響を与える窒素条件を変化させた場合の発現に関しても解析を行った。その発現変化は植物形態との相関性が高く、今度、病原菌耐性と植物形態の間を結ぶような遺伝子経路を探究するにあたってのヒントであり、定量的あるいは網羅的な解析へと発展させるにあたっての方向性を提示したものであったと捉えている。 他の病原菌耐性遺伝子変異体との多重変異株の作製により、PAD4がacl1形態異常に必須である事も確認できており、病原菌耐性経路でのacl1機能を指示するデータとして重要となってくると考えている。
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