2010 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光プローブの開発に基づく、がんの特異的in vivoイメージング
Project/Area Number |
08J10892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅沼 大祐 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛍光プローブ / 分子標的診断 / がん / β-ガラクトシダーゼ / 分子内スピロ環化反応 / イメージングガイダンス |
Research Abstract |
がんは1981年より日本人の死因第1位となっている疾患であり、その死因の90%はがんの転移によると言われている。これらの治療法の1つとして病変の切除といった外科手術があり、より多くの病変を的確に切除することにより術後の5年生存率が高くなることが知られている。転移した病変を精度良く簡便に検出する手法は広く望まれ、本研究ではがんを特異的に光らせる蛍光プローブの開発に基づき、実際のがん診断への応用を念頭に病変の検出を目指した。 採用第3年度の計画は「蛍光内視鏡を利用したがん検出法の開発」であったが、本計画は前年度までに前倒しで達成している。本年度では、蛍光プローブのさらなる高感度化を行い、蛍光プローブ投与数分後という早い時間でがんを検出することを目指した。具体的には、がんの転移形態の1つである腹膜播種を標的とし、前年度に酵素活性が亢進していることを見出した、β-ガラクトシダーゼを分子標的として蛍光プローブの開発を行った。蛍光プローブの蛍光OFF/ONスイッチである分子内スピロ環化反応を制御し、パックグラウンド蛍光を極めて小さくすることにより、酵素反応前後で1400倍以上蛍光増大する蛍光プローブを開発した。本蛍光プローブを腹腔内投与(~0.6mg/kg)することにより、腹膜播種モデルマウスにおいて投与5分後から1mm以下の病変まで検出することに成功した。本手法はこのような早いタイムコースからがんの検出が行えるため、がんの切除後にがんの取り残しがないかどうか手術中に確認することも可能である。また、投与1時間後では、がんにおける蛍光はより明るく、肉眼で検出可能であり、がんをリアルタイムに識別しながら摘出することも可能であった。このように、開発したがん検出法は、がんの外科手術の精度を向上させる手法として、がんの取り残しを防ぐなど医学への応用が期待できる。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] Development of fluorescence activatable probes for β-galactosidase and their application as a diagnostic tool for the detection of peritoneal metastases of ovarian tumors in mouse models2010
Author(s)
Asanuma D, Kamiya M, Ogawa M, Kosaka N, Hama Y, Koyama Y, Choyke PL, Kobayashi H, Nagano T, Urano Y
Organizer
The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies (Pacifichem 2010)
Place of Presentation
Hawaii Convention Center, (Hawaii, USA)
Year and Date
2010-12-19
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