2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規蛍光プローブの開発に基づく、がんの特異的in vivoイメージング
Project/Area Number |
08J10892
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浅沼 大祐 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛍光プローブ / 分子標的光診断 / がん / β-Galactosidase / 蛍光内視鏡法 |
Research Abstract |
がんは1981年より日本人の死因第1位となっている疾患であり、その死因の90%はがんの転移によると言われている。がんの転移の1つとして腹膜播種が知られ、腹膜播種は卵巣がん患者で高頻度に認められ、致死性が高い。治療法として病変の切除といった外科手術がよく選択され、治療の成果を向上させる上で病変を精度良く簡便に検出する手法の開発が望まれている。本研究では、がんの特異的検出法の開発に基づき、実際のがん検出・診断への応用を念頭に、外科手術を志向した開腹下での病変の検出および蛍光内視鏡による病変のリアルタイムでの検出を目指した。 当初の計画では、採用第2年度目は採用第1年度目で達成したがん検出手法の改良を行う予定だったが、新たな戦略でのがん検出を試みた。まず、SHIN3、SKOV3細胞をはじめとしたヒト卵巣がん由来細胞において、β-galactosidase活性が亢進していることを見出した。本酵素はレポーター酵素としてよく用いられ、一般的に通常の哺乳動物細胞においてその活性は低いと考えられている。そこで、Rhodolを母核とした新規β-galactosidase蛍光プローブを開発し、各種卵巣がん腹膜播種モデルマウスに腹腔内投与にて用いた(~0.6mg/kg)。投与1時間後にマウスを開腹してイメージングを行い、また、蛍光内視鏡を用いて麻酔下のマウスにおける病変のリアルタイムイメージングも行った。各種卵巣がん腹膜播種モデルマウスにおいて、蛍光によるがんの検出が可能であった。特筆すべき点として、蛍光プローブ投与後の早い時間(10分未満)から病変の検出が可能であり、また、病変における蛍光を肉眼で観察することも可能であった。今回開発した手法によって当初の計画では為し得なかった、"より早く、より明るい"がんの検出が可能となった。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
浅沼大祐、小林久隆、長野哲雄、浦野泰照
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Journal Title
がん分子標的治療研究マニュアル(日本がん分子標的治療学会編)(金芳堂)
Pages: 8(233-240)
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[Journal Article]2009
Author(s)
浅沼大祐、小林久隆、長野哲雄、浦野泰照
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Journal Title
Cancer Frontier 「分子標的時代における分子診断、イメージング、遺伝子検査」、Vol.11(医薬ジャーナル社)
Pages: 8(35-42)
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[Journal Article]2009
Author(s)
浅沼大祐、小林久隆、長野哲雄、浦野泰照
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Journal Title
Methods in Molecular Biology, "Bioluminescence Methods and Protocols"(Humana Press Inc.)
Pages: 16(47-62)
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