2009 Fiscal Year Annual Research Report
事故の再発防止に向けた情報法制の行政法的研究―法医解剖情報のデータベース構築―
Project/Area Number |
08J10897
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
折橋 洋介 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1) (40711312)
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Keywords | 行政法 / 個人情報保護 / 死因調査 / 検視 / 死体見分調書 / 死体解剖保存法 / 刑事訴訟法 / 法医学 |
Research Abstract |
本研究は、法医解剖情報を含め、行政機関等の実施する死因調査に係る情報の取扱いを一つの切り口として、死因調査に係る法制度とその実態、さらには法構造について、主として行政法学の視角から検討を加えようとするものである。そして適宜、法医学、医史学、統計学等の視角から分析ないし考察をふまえることによって、本研究の対象とする情報、とりわけ死因調査に係る情報の法的性質あるいはその質的評価において幅広い視野からの考察をも試みようとするものである。 とくに本年度は、伝統ある自治研究誌上において、愛知県個人情報保護条例に基づく死体見分調書等の開示請求についての判例評釈を発表することがゆるされたことは大きな成果である。そこでは、死因調査に係る情報について、その事例判断を行ったうえでなお刑事手続上の取扱いとすることが適切ではないものがあることを示し(情報の法的性質の評価)、さらに情報公開と個人情報保護の両法制下における開示の違いに言及し、個人情報保護法制において利用制限付きの情報開示の仕組みに関する議論の必要性についてふれた。このことは、事例の特異性などから従来あまり議論がなされていなかったところであると思われ、今回公表できたことの意義はその意味でも大きいものと考える。 本年度の当初の研究実施計画に照らせば、地方自治体レベルでの死因調査の仕組みの実態に関する調査および国際比較の視点からの分析が未だ情報収集の段階にとどまったものの、個人情報保護法制における死因調査に係る情報の取扱いについての判例評釈を公表できたことは本研究の方向性を示すに値する成果である。
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Research Products
(1 results)