2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10913
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中根 大介 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | マイコプラズマ / 滑走運動 / シアル酸 / あしの動き検出 / 形態変化 / 細胞骨格 / タンパク質精製 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
私の所属する研究室では,「マイコプラズマ滑走運動のメカニズム」について研究を行っている.本年度は,最も速く滑走運動を行うMycoplasma mobile,ヒトの病原菌Mycoplasma pneumoniaeを用いて,以下のことを明らかにした. (1)M.mobileの滑走運動は,菌体表面に生えた50nmの"あし"が固形物表面上のシアル酸との結合・解離をくりかえすことで起こると予測されている.高速カメラを用いて,特殊な条件下で滑走運動を観察すると,菌体が約80nmずつ前進と停止をくりかえしながら運動する様子をリアルタイムで可視化した.これは,微小なあしの動きが菌体の動きとして反映したものであり,シアル酸を介して生じる病原性の理解にもつながると考えられる. (2)M.mobileの菌体を界面活性剤で処理することで形態の変化を誘導し,その滑走運動を解析した.その結果,フラスコ型の菌体の膜突起部位のみでも滑走運動は可能であることを示した.これは,滑走運動を試験管内で"再構成"したような状態であり,様々な生化学的実験に応用が可能になる.内容はバクテリア研究の権威であるJournal of Bacteriologyへの投稿準備中である. (3)M.pneumoniaeの"あし"タンパク質を精製し,その分子形状を明らかにした.このタンパク質は,シアル酸との結合能を有する可能性が高く,また抗原性変化のタンパク質としても知られており,マイコプラズマ肺炎の病原性の理解につながるかもしれない.内容はJournal of Bacteriologyに投稿し,査読中である.
|