2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J10918
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柳澤 大地 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員DC1
|
Keywords | 流動係数 / 待ち行列 / 群集運動 / 避難 / ゲーム理論 / センオートマトンBB |
Research Abstract |
昨年度、私はゲーム理論の応用について学ぶと同時に、避難と待ち行列の研究にも取り組んできた。 避難に関しては、出口での衝突や方向転換の効果を導入したモデルの研究がPhys.Rev.Eという学術誌に掲載され、三つの海外の科学メディアにも取り上げられた。この論文では、流動係数(一秒当たりにーメートル幅の出口を通過することができる人数)が、人どうしの衝突の効果を詳細に考慮することができる「衝突関数」と、出口周りの方向転換による減速を表わす「方向転換関数」により、非常に正確に計算することができた。また適切な障害物を特定の位置に設置すると、障害物を迂回することによる歩行速度の減少を抑えた上で、人どうしの衝突や、自分が先に行くのか譲るのかといった迷いを減少することができるため、流動係数が大きくなり早く避難できることも分かった。 待ち行列に関しては、二つのテーマに焦点を当て研究を行ってきた。一つは待ち行列に並んでいる人達のダイナミクスを考慮した待ち行列理論の研究である。私は従来の待ち行列理論とセルオートマトンを組み合わせたモデルを考えることにより、行列に並んでいる人が列を詰める効果や、並んでいる人の間の間隔の効果を導入した。この新しいモデルの定常状態は厳密に求められ、その結果を用いて平均待ち時間や平均待ち行列長さを簡単な数式で表すことができる。実際の人による実験により、これらの結果が元の待ち行列モデルよりもより現実的であることも確認できた。シンプルでかつ現実的な本研究成果は、工学的な応用が大いに可能であると考えられる。 もう一つは、待ち行列での並び方の改善方法についてである。アミューズメントパークの乗り物や観光名所のエレベーターなど一度に多くの人が移動するタイプの待ち行列では、乗り物やエレベーターに乗る人が素早く移動して乗り込むことが待ち時間の短縮に繋がる。しかし、人は長い間行列に並んで待っていると大きなストレスを感じると同時に、列はなかなか進まないと思うようになり、列が動き始めても素早く動き出すことができなくなってしまう。そこで我々は待ち行列をサーキット状にし、待っている間もゆっくりと歩いてもらうことを考えた。実験を行うと全員が止まっている状態から移動し始める場合よりも、サーキットを一周してから移動し始める方が早く全員の移動が完了することが分かった。我々はこの結果が人の慣性によって説明することができると考え、慣性効果を取り入れた歩行者モデルを作り、上記の実験結果を理論的にも説明することに成功した。待っている間に歩き続けるのは、一見負担となるように思えるが、大きなアミューズメントパークなどでは、どのように列が進んでいるか把握することができないため、歩いているだけで列が進んでいると錯覚を起こし、ストレスを軽減することもできると考えられる。従って、この結果は大いに現実への応用が考えられる。
|
Research Products
(24 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] 「待ち行列の長さ=待ち人数」でよいのか2009
Author(s)
柳澤大地, 田中裕貴, 姜鋭, 友枝明保, 大塚一路, 須摩悠史, 西成活裕
Organizer
九州大学応用力学研究所平成21年度共同利用研究集会「非線形波動研究の現状と将来-次の10年への展望」
Place of Presentation
九州大学
Year and Date
2009-11-20
-
-
-
-
-
-
-