2009 Fiscal Year Annual Research Report
機能比較に基づく癌抑制遺伝子TP53コドン72多型の分布と維持機構の解明
Project/Area Number |
08J10921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加島 妙子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人類学 / p53がん抑制遺伝子 / 多型頻度分布 / 機能比較解析 / 遺伝子型解析 / 相関解析 |
Research Abstract |
TP53コドン72多型が集団ごとに多様な頻度分布を呈しながら人類の小進化の過程で維持されてきた背景を解明するという目的に沿い、今年度の研究計画では、1-2 TP53とその近隣のハプロタイプ解析結果を集団間の系統関係と比較し、TP53コドン72多型への人類の拡散の影響と淘汰の可能性を明らかにすること、さらに<2>紫外線に対する多型間の応答比較研究を行い、多型間での紫外線に対する反応性の違いを明らかにすること、を予定していた。<2>では、1-1の結果を踏まえて昨年度変更した研究方針に従い研究を進めたが、ヒトの毛髪に存在するケラチノサイトを実験に使用可能なほど増殖させる方法が確立できなかったため、新たな手法を見出し次第、改めて試みる予定である。 1-2のアジアの複数集団を対象としたTP53のハプロタイプ解析は、同ハプロタイプ解析をほぼ終わらせた矢先、本研究と類似した研究により、アジア地域でのp53の淘汰を示唆する論文が先に発表されてしまった。加えて、The HUGO Pan-Asian SNP Consortiumによって、アジア集団の系統関係が細部まで明らかにされようとしていることから、ゲノム解析に関しても研究の変更を余儀なくされた。そこで、1-1で得られたp53Arg型頻度と高い相関をもつがんのうち、小児がんとの相関の高さに注目し、小児がんの患者と健常者におけるp53ハプロタイプの比較解析研究を行うこととした。小児の時点でのがんがp53Arg型の頻度分布に緩やかな淘汰圧を与えている可能性を検証しようというものである。本研究は、共同研究としてタイでの倫理申請もすでに終了しており、あと数ヵ月以内には結果を得られる計画である。 研究計画当初の予定とはずれが生じたこともあり、期待ほどの成果は得られなかったものの、ある程度の進展はみられた。
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