2008 Fiscal Year Annual Research Report
機能比較に基づく癌抑制遺伝子TP53コドン72多型の分布と維持機構の解明
Project/Area Number |
08J10921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加島 妙子 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 人類学 / p53がん抑制遺伝子 / 多型頻度分布 / 機能比較解析 / 遺伝子型解析 / 相関解析 |
Research Abstract |
TP53コドン72多型が集団ごとに多様な頻度分布を呈しながら人類の小進化の過程で維持されてきた背景を解明するという目的に沿い、今年度の研究計画では1-1統計解析を行いTP53コドン72多型の特徴的な頻度分布に影響を与えていた可能性のある因子の炙り出しを行うこと、2-1ヒトケラチノサイトを用いた紫外線照射実験を行い、多型間での紫外線に対する反応性の違いを明らかにすること、を予定していた。1-1では、公表論文から絞り込んだ129論文40040人のTP53コドン72多型データとGLOBOCAN2002データベースから抽出した癌データの相関解析を行った結果、紫外線に強く関連するメラノーマの頻度分布が、p53Arg型の頻度分布と高い相関を示すことが明らかになった。そのため、TP53コドン72多型の頻度分布に紫外線が関係あるという研究想定時からの予測を集団人類学的に支持する結果を得られた。一方、2-1では、1-1の結果を踏まえ、ケラチノサイトとメラノサイト2種類の細胞の共培養のもとで三次元の皮膚を作成し、紫外線照射実験を行う方が望ましいとの考えに至った。さらに、多くの試料を得るために低侵襲的にケラチノサイトを入手可能な、ヒトの毛髪に存在するケラチノサイトを利用しようと考え、現在その入手先の選定や分離と培養方法の模索をしている。加えて、市販のケラチノサイトとメラノサイトを用いて、紫外線照射実験の条件設定も行っている。そのため、2-1では具体的な研究結果を得るにはまだ至っていないが、ヒトの皮膚に紫外線があたるという現象を、当初の計画よりもさらに現実世界に近い形でin vitro実験することになるため、結果が得られた暁には、人類学的見地からの説得力が格段に向上すると期待される。 このような細胞実験の予定のずれもあったため、2年度に行う予定だった1-2のTP53ハプロタイプ解析にも1年目から着手し始めた。以上、研究計画当初の予定とはずれかおるものの、総合的に判断して期待に近い進展が得られている。
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Research Products
(1 results)