2009 Fiscal Year Annual Research Report
メディア表現におけるコミュニケーション・デザインの実践と思想の研究
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08J10934
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
平口 希世子 (鳥海 希世子) The University of Tokyo, 大学院・学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 市民メディア / メディア表現 / コミュニケーション / 協働性 / 地域連携 / 民衆芸術 / サークル運動 |
Research Abstract |
平成21年度は、20年度までに行った実践研究を論文化し、そこから生まれた課題にそって新たな実践を実施した。また、歴史思想研究をさらに進めた。以下に成果をまとめる。 ○実践研究 写真と文章を組み合わせて地域について語り合うワークショップ、「あいうえお画文」について査読論文としてまとめた(「「あいうえお画文」ワークショップ-地域における協働的物語りの創出をめぐる実践的メディア研究」『社会情報学研究』)。 「あいうえお画文」という遊びの形式は、ワークショップにおける協働活動にとって有効的であったが、そうした活動をどのようにしてより広く地域社会と結びつけていくかに課題が残った。その課題を受けて、「とやまフォト川柳」プロジェクトを実施した。これは、ワークショップだけでなく、富山県のローカル放送局やNPO、大学や高校と連携し、テレビ放送だけでなくウェブサイトや携帯電話を用いたクロスメディア型の試みで、富山県のイメージを写真と川柳で表し、合評しあうという実践である。「あいうえお画文」に比べ、地域社会との連携の幅を広げることができた。 ○歴史思想研究 戦後日本のサークル運動、および民衆思想史研究についての考察を行った。サークル運動は、現代における市民のメディア表現を歴史文化的、思想的に位置づけるための対象であり、既に行ってきた民芸運動とともに歴史的事例として位置づけられる。政治意識の強い社会運動的サークルではなく、青年学級から派生した農村サークルを取り上げることによって、サークルでの活動と地域社会との関係性を浮き彫りにすることができた。 民衆思想史研究は、その研究者と研究対象との関係性に着目し、そこに未来社会に対するデザインの思考があったとして、実践研究と歴史思想研究を結びつける枠組みとして活用したいと考えている。
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Research Products
(4 results)