2008 Fiscal Year Annual Research Report
複雑な環境下における電波伝搬特性推定法の開発に関する研究
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08J10959
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
芳野 真弓 (中川 真弓) Fukuoka Institute of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | ウィーナ・ホッフ解 / 近似解 / スペクトル領域 |
Research Abstract |
ユビキタスネットワークの構築の実現に向け、情報通信技術の多様な発展が進んでいることから、複雑な環境下における電波伝搬特性推定法の開発に関する研究として、基本的な電磁波散乱現象を含む以下の問題を取り上げ、以下の種々の問題に対して精度の良い近似解法の提案を行った。 1、2枚の半無限平行導体板による散乱問題 2、1枚の厚みのある半無限導体板による散乱問題 例えば都市部や市街地などの複雑な環境下では、1の問題はビル間、2の問題は単一ビルでの電波の散乱問題として想定できる。これらの2つの問題に対して精度の保証された近似解法が提案できれば、それらの組み合わせにより複雑な問題へ拡張できると考えることができる。当該年度では2の問題を取り上げた。この問題では、スペクトル領域で厳密な解に無限連立方程式の解および複雑な核関数の因数分解を含むことから、そのフーリエ逆変換が解析的に厳密に得られない問題点があった。そこで本研究では、そのフーリエ逆変換が解析的に得られるように厳密解の式変形を行い、厳密解のスペクトル関数での振る舞いを、波長に対する散乱体の大きさと平面波の散乱体に対する入射角を数値パラメータとして数値的に考察し、近似解の導出を試みた。その結果、問題であった核関数の因数分解の解析的な処理および無限連立方程式の解を導くことが不要となり、キルヒホッフ・ホイヘンスの定理を用いて導出した標本化関数と厳密解に含まれる既知関数のみで近似できることを示した。 近似解の精度については、スペクトル領域で厳密解と比較し、両者が良く一致することが判明した。またこれにより複雑な計算が不要となり、さらに計算機時間の大幅な節減を行うことができた。よって、本研究で導出した近似解の精度が保証され、複雑系の電波散乱問題に適用する場合、有効な近似解法として期待できる。
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Research Products
(3 results)