2009 Fiscal Year Annual Research Report
早期がん診断薬・PDT治療薬の創製を目指したin vivo蛍光プローブの開発
Project/Area Number |
08J10965
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小出 裕一郎 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 近赤外蛍光色素 / 蛍光イメージング |
Research Abstract |
研究実施計画に記した通り、早期がん診断薬の創製を目指し、新規近赤外蛍光色素の開発研究を行った。近赤外蛍光色素には、それ特有の組織透過性の高さ、細胞傷害性の低さなどのバイオイメージングおける利点があることから、in vivoがん蛍光イメージングを行う上で非常に有用なツールとなると考えられる。ローダミンはその高い蛍光量子収率、光褪色耐性等の優れた蛍光特性からケミカルバイオロジー分野においても広く使われている蛍光色素であり、様々に構造展開されているが、そのほぼすべてにおいてキサンテン環10位の酸素原子は保存されている。14族metallole化合物に見られるよう、Si,Ge,Snなどの高周期14族原子をπ共役鎖の隣に導入すると、σ*-π*相互作用を起こすことにより、最低非占軌道(Lowest Unoccupied Molecular Orbital; LUMO)を安定化し、吸収・蛍光波長が伸びることが報告されているが、この性質はローダミンにも適用可能であり、我々はキサンテン環10位に高周期14族原子を導入することで、赤色~近赤外領域に該当する650nm付近に吸収・蛍光を有するローダミンを合成した。更なる長波長化を目指し、構造展開を行った結果、700nm付近に吸収・蛍光を持つローダミンの開発にも成功した。この新規近赤外蛍光色素は、光褪色耐性、蛍光量子収率、分子サイズなどの点において現在汎用されている近赤外蛍光色素であるシアニン系色素よりも優れた点を有しており、申請時の計画にある高感度のがん蛍光イメージング達成への確実な一歩と言える。また、この研究内容を以って、積極的な学会への参加・情報の収集を行い、第24回生体機能関連化学シンポジウムにおいては学会講演賞を受賞した。
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Research Products
(6 results)