2009 Fiscal Year Annual Research Report
ノンパラ・セミパラメトリック計量モデルの統計的推測の研究
Project/Area Number |
08J10974
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 幸敏 The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 構造方程式 / 同時方程式モデル / 多操作変数問題 / 制限情報最尤推定法 / 漸近最適性 |
Research Abstract |
線形構造方程式モデル(あるいは操作変数モデル)は、計量経済分析において最も良く使われるモデルの一つであるが、近年、TSLS推定量とGMM推定量は、多くの場合に無視できないバイアスを持つことがあるということが指摘され、LIML法や経験尤度法などのオルタナティブ推定量の有限標本性質が注目を集めるようになってきた。 本研究では操作変数の数が大きい場合のLIML推定量とTSLS推定量の漸近的性質を導出し、さらにLIML推定の漸近最適性を示した。操作変数が大きい場合の構造方程式の推定問題は、近年の経済データの量・質の両面における増大に伴い、理論計量経済学において大きな注目を集めている分野である。応用としては、ダイナミックパネルデータの分析、ノンパラメトリック構造方程式モデルの分析など、多岐にわたる応用の可能性がある。具体的には、標準的な大標本理論と異なり、操作変数の数がデータ数と共に大きくなっていく場合の漸近理論(「多操作変数漸近論」と呼ぶ)を展開した。主な結果としては、第一に「多操作変数漸近論」の下でTSLS推定量は一致性を失う。これに対し、LIML推定童は一致性と漸近正規性を保つことが示された。第二に「多操作変数漸近論」の下では、操作変数の多さは大標本理論に基づく漸近分散に新たな(正の)項が加わるという影響を及ぼすことが分かった。さらに、LIML推定量は一般的なクラスの中で漸近分散を最小にする推定量になっていることを示した。
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Research Products
(1 results)