2008 Fiscal Year Annual Research Report
強相関酸化物結晶における新奇磁性強誘電体の探索と交差相制御
Project/Area Number |
08J10987
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
赤木 暢 Sophia University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マルチフェロイクス / 交差相制御 / 強誘電体 / 反強磁性体 / 強相関酸化物 |
Research Abstract |
先の研究において発見した「Ca_2CoSi_2O_7における磁場誘起電気分極」の発現メカニズムを明らかにするためにCaをSr,Baで置換したA_2Co2CoSi_2O_7(A=Ca,Ba,Sr)結晶の電気磁気特性を調べた。Ba_2CoSi_2O_7では、Ca_2CoSi_2O_7とは異なる結晶構造を持つことがわかった。どちらも、CoO_4,SiO_4四面体が擬二次元面を形成しているがその配列が異なっている。また、Ba_2CoSi_2O_7の誘電率の磁場による変化(マグネトキャパシタンス)小さかったため、Ba_2CoSi_2O_7では、磁性と誘電性の相関があまり強くないといえる。Sr_2CoSi_2O_7は、Ca_2CoSi_2O_7と同様の結晶構造を持ち、零磁場での誘電率・磁化の温度依存性はCa_2CoSi_2O_7と同様の振る舞いを示す。その磁気転移温度はCa_2CoSi_2O_7(T_N=5.7K)に対し、Sr_2CoSi_2O_7では7Kであった。このように、CaをSrで置換することで磁気転移温度の上昇が見られた。一方、その磁場印加に対する振る舞いは、Ca_2CoSi_2O_7とSr_2CoSi_2O_7で大きく異なっている。Ca_2CoSi_2O_7では、c軸方向に磁場を印加すると二次元面内に電気分極が発現する。Sr_2CoSi_2O_7では、磁場をどの方向に印加しても電気分極は発現しないが、磁場を二次元面内に印加したときにc軸方向に大きなマグネトキャパシタンスが観測された。このような電気分極の変化を伴わない大きなマグネトキャパシクンスの観測例はあまりなく、Sr_2CoSi_2O_7では巨大電気磁気効果の発現機構が従来のマルチフェロイック物質とは異なっていると考えられる。このようにA_2CoSi_2O_7においてAサイト置換により電気磁気特性を制御する二とができた。これらの結果から、格子の小さな変化が電気磁気特性に大きな働きを持っていることがわかる。
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Research Products
(15 results)