2009 Fiscal Year Annual Research Report
強相関酸化物結晶における新奇磁性強誘電体の探索と交差相制御
Project/Area Number |
08J10987
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
赤木 暢 Sophia University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | マルチフェロイクス / 交差相制御 / 強誘電体 / 反強磁性 / 強相関酸化物 |
Research Abstract |
酸素欠損型ペロブスカイト構造を持つTbBaMn_2O_5は、600℃以上の高温からMn^<2+>とMn^<3+>が1:1で電荷整列していることが知られている。このことから、RFe_2O_4にみられるような電荷整列と磁気秩序による電気磁気効果を期待した。また、TbBaMn_2O_<5+δ>は熱処理により酸素量を0〓δ〓1の間で制御した試料を作製できる。つまり、酸素量制御を行いMnイオンの価数を変化させることで、電荷整列の制御が可能である。そこで本研究では、電荷整列が電気磁気効果に及ぼす影響を知るために、TbBaMn_2O_<5+δ>単結晶をFZ法により作製し、その電気磁気特性を調べた。その結果、磁場の印加に伴い誘電率の減少がみられ、8Tで35%程度の巨大な負のマグネトキャパシタンスを観測した。このマグネトキャパシタンスは70K以下の低温で観測されており、その大きさは温度の低下に伴い増加していく。磁化測定から150Kにおいて磁化の立ち上がりがみられているので、磁気秩序が誘電性に影響を与えていることが予想される。このように、TbBaMn_2O_<5+δ>は誘電性と磁性が強く相関を持っており、新たなマルチフェロイック物質として期待できる。また、この電気磁気相関は、過剰酸素のないTbBaMn_2O_5では観測されていないことから、過剰酸素による電荷整列の乱れが起源となっている新しいタイプのマルチフェロイック物質であることが予想される。
|
Research Products
(20 results)